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July 06, 2005

№79 定年とロングステイ その2

    ココナッツ・ファーム
04073110

今後の計画と課題
 この10年間、ロングステイの準備を着々と進めてきたが、定年まであと1年を切り、実行しようという時期になって、以下のような現実的な問題点が出てきている。
(1)2001年、直前までゴルフをするほど健康で元気だった父が87歳で急逝し、自宅近くの老健施設に入所している病弱な母を残したまま、長期間のロングステイは難しいこと。
(2)これまで仕事や家庭を支えてきた妻への感謝の気持ちを含めて、夫婦ふたりでロングステイを実行する計画であったが、最近は妻が反対している。ロングステイに対する思いが、必ずしも夫婦間で共有されていない。妻には妻自身の生活や人生の目標が別にあり、墨絵の趣味や盲導犬のブリーダーのボランティアを通して、友人や地域コミュニティとの個人的な人間関係を築いていることが、反対の理由である。
 このように家庭環境の面で、ロングステイを実行する条件がなかなか整わない。

 すぐには本格的なロングステイをスタートできないものの、あわてずにゆっくりと時間をかけてやっていきたいという。最初は単身で2週間から1ヵ月程度の滞在を繰り返し、両国間を行き来することになろう。現在、福岡のタイ語学校にも通って、さらに語学力のレベルアップを図るため、滞在中現地においてもタイ語を勉強する予定である。
 ところで生前とても元気だった父の死によって、自分自身の高齢期の人生のあり方をあらためて見つめ直す機会になった。その意味で「ロングステイを介して、これからの生き方を問い直そうと思っています」という。
 さらに日本語教師のボランティア以外にも、ロングステイの目的を幅広く検討したい。たとえば、70歳の日本人がリーダーを務めるタイで活動している九州のNGOの手伝いなどを考えている。また、電力技術指導者としての自身の経験を活かして、技術指導のためにタイを訪れる日本人の世話をするボランティア活動も視野に入れている。

インタビューの感想
 タイに対する永年にわたる仕事上の関係や個人的な交流が基盤にあるとはいえ、Yさんのロングステイの計画や行動力は、特に定年退職前後の男性にとって、リタイア後の生き方の模範になるのではないだろうか。
 しかし一方で、綿密な準備を進めてきたにもかかわらず、家庭環境の面で問題点が浮上している。そのため当初の計画通りにロングステイを実行することが、現実的には難しくなっている。これはYさんに限らず、病弱な老親を抱える家庭やこれから高齢期を迎える夫婦間に内在する典型的で一般的な問題や課題ではないだろうか。本人の事情というより、このような家庭環境の理由で、海外でのロングステイを実行できない人が多数いると思われる。
 ロングステイという切り口が、家庭が抱える問題を表面化させたともいえよう。
 Yさんのインタビューの「誰が老親の面倒をみるのか」という問題について、日本人の儒教的な倫理観が根底に流れていて、公的介護保険制度だけではなかなか解決できそうにない問題である。病弱な老親に対する家族の支援や心の交流の問題が、夫婦や家族にとって心理的にも大きなウェイトを占めていることがうかがえる。
 さらに、永年連れ添った夫婦間においても、高齢期に対する人生観や価値観の相違が生じている。これに関して、男女間の生き方や生きがいの対象の相違や、夫婦間よりも個人の価値観のほうが重要視されつつある点は注目される。ロングステイの計画に関して夫婦間で温度差があることについては、「97年に妻が乳ガンを患うなど健康問題から、年をとるに伴い妻の気持ちも変化してきた。」と健康問題に影響されたことが大きいという。


Yさんのその後
 この記事を掲載するに際して、久しぶりにYさんに連絡することができた。Yさんによると、単身で年2回、1ヶ月単位のロングステイを実行しているそうである。日本語教師のボランティアは、短期間の滞在なので実行できないが、上級レベルをめざしてタイ語の勉強を続けている。
 奥さまは、足を痛められていることと、盲導犬のブリーダーのボランティアがあって、なかなかご一緒できないそうである。
 これからの予定など、詳しい話を近いうちに伺いたいものです。

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