№175 スラム街を歩く
クロントイは、バンコク最大のスラム街で、4㎞四方のエリアに約10万人もの人たちが暮らしている。プラティープ財団のモモリン副部長さんから、スラムの中を案内していただく。 初めてスラム街を歩く。
道が張り巡らされているが車は通れない、やっと人がすれ違うことができるくらいで1mほどの幅しかない。道の端に太さ7,8センチの水道管が地上にむき出しで這わせてある。 水道は来ているし、電気もちゃんとしたメーターが付いているので正規に配線されているようである。道路はコンクリートで固められているが、ゴミや所々に犬のフンが落ちているので注意して歩く。
住宅は高床になっているところが多く、床下には雨水が常時溜まって淀んでいる。ゴミなどが浮いていて、ボウフラが発生するのではないかと思われるくらい不衛生である。
モモリンさんの後について歩くが、同じような道が迷路のようにずっと続き、どこまで歩いても同じ路地裏の風景なので、報告感覚も失せて迷ってしまいそうだ。
トタン屋根の住宅が密集していて、外から覗くとどの家も3畳から4畳半くらいしかないようだ。家と家を仕切るのは、薄い壁1枚だけで、その区画の住宅はすべてつながっているといってもいいくらいだ。 どの家の内部もうす暗く、狭い中に大家族が暮らしているという。 室内にはテレビに冷蔵庫、屋外には洗濯機が置いてあり、家電製品は予想以上に普及している。家々の貧しい雰囲気とはアンバランスな印象を受ける。
昼間の時間帯ということもあり、年寄りや女性などを見かけるくらいで、多くの住民は肉体労働者として働きに出ている。
ところどころに保育園があり、元気な幼児たちの声が聞こえてくる。屋外の運動場がある訳でなく、室内でたくさんの子どもたちが遊んでいる様子が見える。これらの保育園にも財団は支援しているという。
最後に財団が運営している幼稚園を見学する。スラムの3歳から5歳までの幼児230人が通ってくる。ここは屋外の遊び場もあり日本の幼稚園と変わりない。2階建てで1階には食堂がありお昼には給食が出る。 給食代やおやつにひとり1日13バーツかかるが、大半は財団からの支援で賄われている。
ここに近畿大学の女子学生2人が、夏休みを利用して子どもたちの世話をするインターンシップに来ていた。まだ来たばかりということだったが、明るくいきいきとした彼女たちの目と笑顔に、日本の若い子も捨てたものじゃないなと思うと、スラム街を歩いて欝積した心が少し軽くなった。
つづく


Comments