№281 タクシン首相に黄色信号
最近、タクシン首相に批判的な報道が多くなっています。その中からいくつか紹介しましょう。
1月19日の西日本新聞の記事です。
タイのタクシン首相の人気に陰りが出ている。昨年2月の総選挙で圧勝し、2期目の政権基盤を磐石にしたタクシン首相。 しかし1年経ち、他の批判を許さない強権的な政治手法に対し、主に都市部住民から批判が強まっている。 毎週バンコクで開かれる政権批判集会には、数万人の参加者が集まり、首相の辞任を要求。こうした状況にも、首相は「自分は(総選挙で投票した)1900万人の支持を得ている」と、強気の姿勢を崩していない。
13日夜、バンコクのルンピニー公園には、約1万人が集まった。この集会は地元紙創設者のソンティ・リントンクン氏が毎週金曜日に開いている。 ソンティ氏は最近発覚したロシア製戦闘機購入をめぐる疑惑を指摘。「首相は政権を返上するべきだ」と訴える。
集会に来ていた男性は、「タクシン首相の政策は、自分のグループのための利益誘導ばかりだということが分かった」と話した。
昨年の総選挙の勝利後も、国内の最大課題である最南部3県でのテロは収まっていない。2期目も有効な対策を打ち出せていないのが現状だ。
また、新空港の機材導入をめぐる閣僚の収賄疑惑など、政権幹部による利益誘導や企業との癒着疑惑も後を絶たない。
さらに、批判を極端に嫌う首相とマスコミとのトラブルが続発。批判者に対して高額の民事訴訟を起こすなど、強圧的な態度で臨んでいる。
ただし、今のところ「反タクシン」キャンペーンは、都市部の住民にとどまっているようだ。国民誰もが30バーツ(約90円)で医療を受けられる「30バーツ保険制度」を導入するなど、首相の人気は、農村部では依然根強い。
与党内に取って代わるような人材が見当たらないことも、首相の強気の一因になっている。
バンコクのフリーペーパー「DACO」 (№183)にも、ソンティ氏の顔写真付きで同様な記事が載っています。
反首相ムードがこのまま拡大すれば、2期8年は既定路線とされてきたタクシン政権に何らかの異変が起きないとも限らない、と書いています。
また、1月18日の朝日新聞の「タイ首相 農村合宿」という記事です。
タイで一番の富豪であるタクシン首相が、貧困撲滅キャンペーンとして東北部の農村で5日間の合宿生活を送っている。 村民や地元の役人らと話し、同じ料理を食べ、テントで寝ることを通じて貧困対策を練ろうとのねらい。
これを96時間にわたりケーブルテレビ局が生中継しているが、人気回復を狙うパフォーマンスではないかと批判が相次いでいる。
追い討ちをかけるように、さらに1月26日の朝日新聞にこのような記事が出ました。
通信メディア持ち株会社株を売却して733億バーツ(約2200億円)の利益を得たタクシン首相一族が税として納めたのは、株取引手数料にかかる付加価値税2500万バーツ(約7500万円)だけで、所得税などを払わなくてよいことがわかり、マスコミや野党から批判が上がっている。
野党議員らは「納税の手本であるべき首相が200億バーツ(約600億円)を逃れた」と非難。通信産業への外資参入規制を取引日に緩和した。 取引のうわさが出てから株価は6割以上値上がりしており、インサイダー取引の疑いがある、などと指摘している。
これに対して首相は「個人の売却益に課税されないのは40年前からの規則。誰でも売買できるのがグローバリゼーションだ」と突き放している。
国一番のお金持ちが首相を務めること自体がすごいことですね。権力と財力が一緒になれば、利益誘導の政治だという批判も出てくるでしょう。 また、強権的な手法のタクシン政権は意外にもたないのでは、という観測もあるようです。
政情の安定は、タイ国民だけでなく在住の日本人にとっても重要な関心事ですので、今後の推移を見守りたいと思います。


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