« №286 アユタヤのゾウは早い | Main | 号外 アクセス数が40000件 »

February 03, 2006

№287 「診察室に来た赤ずきん」

  チェンマイのナイトバザールにて 
20051228_dscf0437

 「診察室に来た赤ずきん」は、精神科医の大平 健氏が書いた“物語療法の世界”の本です。 本屋さんで、その面白い表紙のイラストに気を引かれて手にしました。
 この不思議の国の精神科医は、受診にやってくる患者さんに昔話や童話を語ります。昔話や童話が患者さんの疲れた心を癒し、患者さんの目には少年少女時代と同じ輝きが戻るそうです。

 いくつかの物語療法のエピソードが紹介されています。
 仕事に意欲的に取り組んでいた青年が自宅に引きこもりになったのですが、その原因が分からないため、精神科を受診しました。 この時この精神科医は、昔話の「三ねんねたろう」の物語をして治療を行ったのです。(ここでは、この物語の内容は省略しますが、興味がある方はこの文庫本を読んでください)

 人は一生の間に「内省的」な時期と「行動的」な時期を交互に繰り返すものです。そのたびに人生に区切りをつけ新しい人生を歩むのです。普通それは明確には自覚されません。
 失恋のような大きな出来事の後には、ある程度自覚されます。ひとり旅に出る人がいます。単に心の傷を癒すためと考えられやすいのですが、それだけのことではありません。 恋人のいない新しい人生に備えるためでもあるのです。
 親しい人が亡くなった後も、人はひとりになりたくなります。亡くなった人とのつながりを静かに確認するためですが、同時に親しい人を失った後の新しい生活に備えるためです。 三ねんねたろうが長い眠りについたのも、そういえば母親が亡くなった後のことでした。

 多くの人がとかく、悲しい目にあうと日常の活動でそれをまぎらわそうとします。内省的であるべき時期に行動に走ろうとするのです。 それを防止するために、多くの民族が長い喪の期間を定めています。人は新しい人生を生きるために、ときに内省的になる必要があるのです。 失恋の後や親しい人の死の後とは限りません。思い切った飛躍が必要な時は、いつもその飛躍に備えないといけないのです。

 自室に閉じこもった青年の場合も、つらい思いをしたしたから閉じこもったわけではなく、会社が発展を遂げ自分自身も技術的に大飛躍を遂げられそうになった矢先に、閉じこもったのです。 彼は彼なりに飛躍に備えていたのだといえるでしょう。この青年は、三ねんねたろうの物語とこの説明に得心がいき、また出社し始めたのです。

 人には誰にでも「自分の物語」があるのです。幼い時に心引かれた物語が、みなさんの人生を導いてきたことに気づくはずです。人生のおりおりに鍵となったお話があったことに気づくはずです。
 過去に限る必要はありません。人生の節目節目に自分に合った童話や昔話を見つけてください。誰も心の中にも小さな主人公たちがいて、みなさんに呼び出されるのを待っています。 

 人は一生の間に「内省的」な時期と「行動的」な時期を交互に繰り返す、といいます。内省的な時期には無理に行動しないで、次の飛躍に備えないといけないというのです。 みなさんもこれまでの人生で、じっくりと考える時期と積極的に行動する時期をそれぞれ経験したことがあるでしょう。
 とりわけ男性にとって定年退職は、人生の大きな節目ですし転機でもあります。この青年のように、引きこもる定年男性もいると聞きます。 その意味で、定年を内省的な時期と捉えて、すぐに行動しないで新しい人生に備える時と考えることができます。

 次の飛躍に備える「内省的な時期」、いいではありませんか。大切なことだと思います。ロングステイもそのひとつのきっかけになるかもしれません。 そして、これからの人生を導く「自分の物語」を見つけて、新しい人生へ大きく羽ばたきましょう。
  

|

« №286 アユタヤのゾウは早い | Main | 号外 アクセス数が40000件 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/84814/8446312

Listed below are links to weblogs that reference №287 「診察室に来た赤ずきん」:

» 診察室に来た赤ずきん [Mizky・Blog]
母が1冊の文庫本を買ってきました。 「診察室に来た赤ずきん」 「診察室に来た赤ずきん」は、精神科医の大平 健氏が書いた“物語療法の世界”の本です。 この先生は、受診にやってくる患者さんに昔話や童話を語ります。 昔話や童話が患者さんの疲れた心を癒し、患者さんたちの目に少年少女時代と同じ輝きを戻すという...... [Read More]

Tracked on February 17, 2006 at 03:49 AM

« №286 アユタヤのゾウは早い | Main | 号外 アクセス数が40000件 »