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March 25, 2006

№337 アジア発日本への手紙

ご本尊が破壊されたエラワン・プーム
03032611

 3月20日の西日本新聞に載った、タイ・カオソド紙記者チュムチャン・チャムニプラサートさんの「対立とともに暮らす」というコラムです。

 もう5ヶ月以上も、タイの社会では激しい政治的な対立が続いている。異常な事態ではあるが、人々はだんだんとそれに慣れつつある。
 最近、タイの全テレビ局は、1992年の「5月事件」の際にタイの国王が首相と民主化指導者を呼び、収拾を指示されたときの資料映像を放映した。この映像の放映は、今回の政治的対立は前回の「5月事件」のように流血の惨事を招いてはならない、ということを示唆したとみられる。前回の事件の時、国王はこうおっしゃった。国民が血を流すようなことがあれば、そこには勝者はいない。敗者だけだ。そして最も悲惨な敗者は、国民すべてなのだと。

 今回の対立の構図は、92年の状況とは異なっている。前回は「軍と政治家」対「市民(政権によって権利を制限された中産階級)」の争いだった。今回の対立はかなり複雑だ。市民同士が対立しているのだ

 学者は次のように分析する。長い間にわたって現行の経済体制で利益を得てきた人々と、グローバリゼーションを好む新興勢力との対立が、背景にある。現政府は、経済機構を変革し、外部からより多くの競争相手を呼び入れる一方で、貧困層に手厚い新たな行政システムを造り上げた。それゆえに、貧困層の多くはタクシン首相を支持し、中産階級は首相を嫌う。学識者は賛否両論に分かれている。そしてタイの家庭にも亀裂が入っている。

 ABAC大学の最新の調査によると、タイではこの種の政治的問題(特にタクシン首相が辞めるべきかどうか)について、家庭内でも対立がある。このテーマについて家庭内で話していると、71.8%が対立的論争になってしまうという。そのうち感情的になって論争し続けるのが25%。もう論じるのを止めてしまうのが15.4%。手が出てしまい本当のけんかになってしまうのが10.1%いるそうだ。
 新聞の一面には、政治について話すうちに暴力ざたになってしまったニュースが掲載される。酒を飲んで議論するうちにけんかになり、相手を殺してしまったケースもあった。心理学者はこうした若い人々による事件を憂慮している。

 このため、多くの市民は現在の状況を心配しており、この対立はいつ終わるのかと言い合っている。それはまだわからない。タイの市民のできることは、前向きに考えながら、この対立とともに暮らしていくことである。
 おそらくこれは、タイの社会が流血の惨事なしに民主主義を発展させていくことができるか、というテストなのだ。アフガニスタンやイラクでの戦争以来、米国やヨーロッパの国民も、国民同士の間での対立を抱えながら暮らしている。タイの状況もそれと比較できるかもしれない。
 そう考えれば、今回の対立は、われわれタイの市民にとって、それほど悪いことではない。


 タイの新聞記者が書いた今回の政情混乱について記事です。タクシン首相の辞任の賛否について、タイ市民の間で対立が生まれています。株取引疑惑事件などの理由から国民全体から辞任要求が出ているわけではないことがよくわかります。
 今年はプミポン国王に在位60周年にあたり、記念式典も予定されているのです。民主主義の発展過程ともいっていますが、祝賀の年には平和に解決を図ってもらいたいものです。

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Comments

タイの政局ですが、ブログに書いてある「市民と市民の対立」って、何ですか?意味不明です。
今回の構図は、「タクシン汚職・金権・脱税政治家」対「バンコク市民・中産階級」の対立でしょう。
タクシンを支持する、貧困・低学歴・地方の人々は、単にタクシン(タイ愛国党)から金銭で買収された奴隷であって、政治・市民意識には根本的に欠如している層です。この階層を「市民」と呼ぶのは、相当な無理があります。
今回、バンコクでは、タクシン支持集会と反タクシン集会が開かれていますが、報道によれば、タクシン支持集会の参加者には、500~1,000バーツの日当が出ているそうで、手弁当の反タクシン集会参加者とは、全く異なります。
タイは民主主義の国と言われますが、これほどあからさまに、金をばら撒きながら、政権の座に居座り、国王の裁定に寄らなければ、何事も決まらない国って、切ない気持ちにさせられます。

Posted by: sino | March 25, 2006 08:58 AM

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