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July 23, 2007

№701 伸縮する湖トンレサップ その3

      水上家屋の集落
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その3
 河口を出ると土色の川の水が、植物性プランクトン色でしょうか薄緑がかった水へと変わっていきます。河口から湖岸に近い水上には、たくさんの水上家屋があちらこちらに浮かんでいます。あるエリアに集中していますが、一定の距離をおいて波もなく静かな湖面に浮いています。筏の上に造られたもの、双胴船のような構造のもの、ドラム缶を周りに抱えているものとそれぞれですが、どの水上家屋も質素というより粗末な造りです。嵐でも来たらひとたまりもないでしょう。
 水上家屋の合間を縫って近くから見ると、普通の民家では魚の生簀があったりアヒルを飼っていたりしていますし、薬屋さんに飲み水屋さん、ガソリンスタンドなどもあります。1軒1軒は離れていても一つの町として機能していることが分かります。乾季が進んでもっと水が引くと、この辺り一帯も陸地になるとか。そうすると町全体がさらに沖合いに移動するわけです。
 ソープアンさんによると、水上生活者のほとんどがベトナム人とのこと、その数約10万人とか。ベトナムから密入国した人もいるでしょうから、戸籍もないのかもしれません。まさに“漂う人たち”です。

 “湖上の町”を抜けて、沖合いへ。最大で琵琶湖の10倍もの面積になり、平均でもカンボジア国土の7%を占めるという広大な湖です。ただ薄ぼんやりと水平線が見えるばかりで、逆光のため灰色の水と霞んだ空との境目がはっきりしません。沖合いで漁をしている漁船の黒いシルエットで、かろうじてその辺りが水平線だと分かります。エンジンを停めて漂いながら、この豊饒な湖の穏やかな表情をしばらく眺めていました。

 クルーズでは水上カフェに立ち寄ります。カフェといってもお土産屋さんといった風情で、コーラやジュースを売っているといったところです。店内には漁具やトンレサップ湖に生息する魚類の図鑑が展示されていて興味を惹かれます。水槽では「プレイ・ドンムレイ」というカサゴに似た淡水魚が泳いでいます。「象の魚」という意味のこの魚、人間が醜い魚に変えられたという悲しい伝説があるのだとか。大きな鯰が生簀で飼われていますし、ワニも皮革用に養殖されています。
 階段を登った屋上は展望台になっていて、ここから広大な湖や水上家屋の集落の全景も見渡せます。1階の庇の上では、お土産品や料理として出すのでしょうか、自家製のエビや魚の日干しが作られていました。

   湖に曳かれて行く水上家屋
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 元来た川を戻る途中、さらにトンレサップ湖が小さくなるのに備えてでしょうか、水上生活者の家が小船に湖に向かって曳かれて行きます。2月末、まだ家の正面には中国正月の祝いの札や紙が貼ってあります。雨季と乾季トンレサップ湖の伸縮に伴い、毎年こうやって水上を家を移動していく姿に人々の生活の営みを実感しました。
 アンコール遺跡群を巡る乾燥した大地から、水に親しんだ1時間あまりのクルーズ。その対照が面白いのですが、それだけトンレサップ湖がカンボジアの人々の生活を支える「命の湖」ともいえるでしょう。

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