« №702 日本人入国者減少 | Main | №704 アプサラ・ダンスショーのレストラン »

July 27, 2007

№703 脱出する英国人

 カンボジア、バンテアイ・スレイ遺跡
Img_0998

 07年7月6日の朝日新聞に、ゆとりを求め海外移住する英国人が急増しているという記事が載っていました。

 欧州で経済が最も好調な国のひとつの英国を捨て、海外に移り住む人が急増している。「第二の人生」に踏み出した退職者だけではない。競争社会に嫌気がさし、ゆとりのある「スローライフ」を求める中間層の流出が目立つ。

 ロンドンで3月末、英国人に海外不動産を売り込む大規模な見本市が開催され、3日間で2万人以上が訪れた。トラブル増加を懸念する英外務省が職員を派遣し、ビザの種類、医療や年金といった社会保障制度や税制の違いなど、移住先での暮らしに必要な情報を提供した。
 主催者が来場を期待しているのは持ち家があって、年収3万~5万ポンド(約750万~1250万円)の層。「収入の割りに生活の質を実感できない人たちが増えている」という。昨年6月の世論調査では、英国を出たい理由として「生活の質」が37%で最多。次いで「気候」32%、「高い生活費」24%だった。 
 政界は世論の動きに敏感だ。与党労働党は、生活の質の向上が中間層の支持をつなぎ留めるカギとみて「幸福度」を示す指標の開発を目標に掲げる。最大野党の保守党も「国内総生産(GDP)」だけでなく、人々の幸せを追求する時が来た」(キャメロン党首)。

 英国の代表的なシンクタンク、公共政策研究所(IPPR)が今年まとめた報告書「海外の英国人」によると、国外に定住している英国人は推定約550万人。1年のうち数ヶ月を国外で過ごす約50万人を加えると、人口6千万人の10人に1人が「脱出組」になる。 
 特徴的なのは、移住先が世界中に散らばっていることだ。報告書によると、1万人以上の英国人が暮らす国は41カ国で、欧州諸国でも飛び抜けている。退職世代はスペインをはじめビザが要らない欧州連合(EU)域内をめざし、働き盛りはオーストラリア、米国、カナダへの移住が目立つ。政府統計では、05年に海外に移り住んだ英国人は19万8千人。移住者から帰国者を引いた流出数は10万7千人で、5年前の5万7千人に比べ倍増した。第2次大戦直後の生活苦を逃れるための移住ブーム以来、最大規模とされる。移住者の約1割は不動産を購入するという。EUの東欧拡大にも刺激され、西欧に比べ安いブルガリアやルーマニアの物件も人気が出ている。
 IPPRは好景気が続く限り、毎年10万人前後が流出、移住熱は今後5年は衰えそうにないとみる。 「今回は英国の不動産価格の高騰と強いポンドが、生活の質を求める富裕層や中間層の背中を押したのではないか」と分析している(以上記事から)。

 米経営コンサルタント会社が発表した2007年の世界主要都市の生活費番付で、モスクワに次いで2位にランクされるロンドンです(ちなみに東京は前年の3位から4位に)。生活費の高いロンドンでは収入の割りに「生活の質」を実感できない人たちが、海外移住を目指しているといいます。持ち家がある人たちは、高騰する不動産市場を背景に自宅を売却したり、賃貸にしてその家賃収入で海外の滞在費を賄っているようです。それにしても全人口の10分の1もの国民が、それも富裕層を中心に海外に流出することは、英国内の空洞化につながることにもなり、ある意味異常な状況ともいえます。

 一方、戦後最長の経済成長が続いているといっても「生活の質」を実感できないのは日本とて同じことですが、事情は大きく異なります。正規雇用を減らして人件費などのコストをカットしたり、超低金利の恩恵を受けたりして好決算を計上する企業とは異なり、国民の多くは所得は増えず、その豊かさを実感できないどころか、逆に社会格差が開きつつあります。そして最近の円安です、海外での生活費も決して安くないとなれば、ロングステイに対するハードルやリスクも高まります。英国とは対照的です。
 しかしお金で買える、あるいは充足できるとは限らない「生活の質」、つまり自分にとっての「幸福度」について、もう一度見直してみる必要があると考えさせられる記事でした。

|

« №702 日本人入国者減少 | Main | №704 アプサラ・ダンスショーのレストラン »

Comments

先日何気なくTVをつけると「海外ロングステイ」の放映をしていました。途中からでしたが、「カナダ・バリ・オーストラリア」でした。関心のある「タイ・ベトナム」は取り上げられませんでした。いずれも「ロングステイ財団」の5ッの定義を満たすものでした。この財団は1992年旧通商産業省の認可を受けて、設立された公益法人です。設立の趣旨は理解できます。が、過去に「シルバー・コロンビア計画」で、マスコミから「日本は商品だけでなく、老人まで輸出するのか」と叩かれ、最近では「ロングステイを商標登録」し、登録会員以外の使用を禁止する。等から今ひとつ真の意図が解かりません。一方でご存知の様にタイ国(特にチェンマイでは)財団の定義に当てはまらぬ、長期滞在者が多数居られます。この人達は何んと呼べば良いのでしょうか?日本人は組織化したり、定義ずけする事が好きな国民です。が、法を犯さず義務を果たして居れば、個人の生き方まで方向ずけする必要は無いと思います。

Posted by: クン。ポー | August 07, 2007 at 09:17 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« №702 日本人入国者減少 | Main | №704 アプサラ・ダンスショーのレストラン »