« №706 新空港へのタクシー | Main | №708 土埃りのプノンバケン登り »

August 03, 2007

№707 福岡からの海外旅行減少

   帰国便が到着した福岡空港
20070301_dscf1523

 07年7月25日の西日本新聞の記事からです。

 06年に福岡空港を利用した海外旅行者が前年に比べ約1割減ったことが、JTBのまとめでわかった。成田、関西、中部の3空港は前年並みか微増で、福岡の落ち込みが目立つ。福岡-ホノルル便などの運休が要因とみられるが、同社子会社のシンクタンクは「地方では高齢化の影響で、海外旅行熱が冷めている」と、高齢化を遠因に挙げている。 
 まとめによると、主な空港別海外旅行者数は、①成田9635万人(前年比0.6%増)②関西3861万人(0.0%減)③中部1925万人(3.6%増)④福岡702万人(9.6%減)。

 航空会社は近年、燃料費などで経営環境が悪化。改善策として路線の統廃合を進めている。福岡では日本航空グループが05年10月にホノルル、香港、ソウル便を運休。海外旅行者減少につながったとみられる。
 だが、JTBのシンクタンクは「高齢化が進み、定年退職者が増えれば、海外旅行者が増えると思っていたが、実際には反対の状況」と説明。 「直行便が減って、成田などでの乗換えが必要なため、高齢者は肉体的な負担などに不安を感じ、海外旅行を敬遠しているのではないか」と指摘する。

 海外旅行者は2000年以降、人口の集中が進む首都圏と東海で増加。人口流出や高齢化が深刻な九州や北海道、東北などは減っている。06年の九州各県別の海外旅行者増減率でも、宮崎と鹿児島が微増ながら、他の5県は減少(福岡3.1%減、佐賀3.7%減、長崎1.6%減、熊本6.1%減、大分5.6%減)。地方の海外旅行熱そのものに陰りが見える。

 この記事で気になったのは、意外にも高齢化が遠因ではないかということです。もちろん直接の原因は、経営難に陥っている日本航空が福岡からの海外路線から撤退したことです。搭乗率が悪くなかったホノルル線も単価の低いツアー客が主体では儲からないので、利益率の良いビジネス客の多い路線に機材を振り替えたのです。そのお陰で、ホノルルへはチャーター便か関空などで乗り換えないといけなくなりました。若い人ならいざしらず、高齢者にとって直行便がないというのは、海外旅行への大きなハードルです。

 しかし高齢化だけでなく、今後は日本が人口減少社会に突入しつつあるということを基本的に認識しなければなりません。日本の総人口は06年10月現在、12777万人ですが、05年に戦後初めてマイナスに転じました。「日本の将来推計人口」の中位推計によると、25年に12000万人を下回った後も減少を続け、2055年には8993万人と9000万人を割り込むと予想しています。50年後には現在より約3800万人も人口が少ないという驚くべき推計結果です。ちなみの同じ55年の高齢化率は40.5%と、2.5人に1人が65歳以上と極めて高齢化の進んだ社会の到来が見込まれています。これは高齢化と人口減少が同時並行的に進展していくことを意味します。

 また高齢化と人口減少は、年金など社会保障制度の問題だけでなく経済に至るまで大きな影響を及ぼし、特に規模の拡大を期待することが難しい時代になってきたということです。見方を換えると“数”ではない“質”が問われる時代でもあります。それは日本社会全体だけでなく、個人にとっても「生活の質」「生き方の質」を問い直してみる時期に差し掛かっているのかもしれません。将来の高齢・人口減少社会に向けて新しいパラダイムを構築しなければならない時期のようです。そんなことを考えさせられる記事でした。

|

« №706 新空港へのタクシー | Main | №708 土埃りのプノンバケン登り »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« №706 新空港へのタクシー | Main | №708 土埃りのプノンバケン登り »