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August 23, 2007

№717 タプロームの巨大木

   遺跡を飲み込むスポアン
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 午前中バイヨン寺院から象のテラスを観た後、つぎはタプロームへ。巨大な樹木が遺跡を飲み込んでいる映像や写真を見たことがある、あの遺跡です。
 タプロームは12世紀末、ジャヤバルマン7世が母のために作った仏教僧院でしたが、後にヒンドゥー教に改宗されたとのこと。当時、僧院には5000人もの僧侶がいたといいますから、その広大さが伺われます。

 車を降りてタプローム遺跡へ歩くと、ズレてしまった西門への石畳が修復中です。周りを鬱蒼とした森に囲まれ、背の高い大木が印象的ですが、外からは普通の遺跡に見えます。ところが遺跡の中に入ると、大木の巨大な根が遺跡を押しつぶすように成長している光景を目の当たりに。写真などで見たことがあるとはいえ、実際に目にすると改めて自然の力に圧倒されます。

 これらの大木はスポアン(榕樹)と呼ばれ、樹齢は約300年。スポアンは、日本では沖縄などに自生してるガジュマルの木のことで、幹は多数分岐して繁茂し、気根といわれる空気中に露出した根を垂れます。
 わずか300年ほどの年月で、榕樹は寺院を飲み込んでしまっています。榕樹の根は自由自在にその根を伸ばし、意思を持っているのではないかと思えるほどです。寺院は所々で崩壊したり、傾いたりして辛うじてその姿を保ってはいるものの、その異様なスポアンの根は、まるで異星人(エイリアン)が侵略しているかのようです。もし榕樹を取り除いてしまったら、石造りの建物はその力から解放された途端、きっと崩れ落ちるに違いありません。それほどしっかりと寺院を抱え込んでいます。血管のように網の目を張ったスポアンや、蛸の足や大蛇がくねったように根を伸ばしたものなど、どれもその逞しい生命力に驚かされます。

 森の力に圧倒されているタプロームですが、それでも回廊や中央祠堂には美しい彫刻やデバター(女神像)が風化しつつも残っています。中でも苔むした壁にベンガラが塗られているのか赤いデバター像が、スポアンの異様さと対照的に穏やかな微笑を湛えているのが印象的でした。 
 自然の力とどこか神秘的な雰囲気が漂うタプローム、個性的な遺跡が多いアンコール遺跡群です。

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