№754 「クーデター後のタイ」
07年10月21日、バンコク・クロントイスラムの教育支援をする「くるんてーぷの会」の学習会に参加しました。講師は今年7月までの2年間、西日本新聞社のバンコク支局長だった国際部次長 永田健氏。昨年8月バンコクでお会いしてから久しぶりの再会です。タイ駐在から帰国したばかりの永田氏が、 「クーデター後のタイ」という演題で、最新のタイの政情などを語っていただきました。
昨年9月19日に起きたクーデターですが、バンコク市内は一般的なイメージとは異なる平穏なクーデターであったこと。政変で失脚したタクシン元首相の政策の功罪について。そして国民から敬愛されているプミポン国王のことなど、新聞記事には載らないエピソードを交えながらの分かりやすい説明で、これまで断片的だったタイ政治の現状について理解が深まりました。
中でも今年12月23日に予定される総選挙の話は、興味深いものでした。永田氏によると、総選挙によってクーデターによる政治のリセット機能が完了し、現在のスラユット暫定政権から民政へと政権が移管されるだろうとのこと。
元タクシン派が多数入党した「国民の力党」が第一党を狙っていて、その対抗馬がアビシット党首率いるリベラル派の「民主党」、それにクーデターの首謀者ソンティ陸軍司令官が政界入りをし「中道主義党」設立の動きもあるとか。
今年8月の憲法改正を問う国民投票で暫定政権の方針が支持され、首相の権力集中を防ぐため任期は2期8年まで、そして小選挙区から中選挙区比例代表並立制への変更によって、タクシン元首相の「タイ愛国党」のように議席を独占することは難しそう。一般的な選挙予想では、「国民の力党」も「民主党」も過半数を取れずに、他の党を巻き込んでの連立政権になるのではないかと言われているそうです。
これまでプミポン国王頼みの政治混乱の収拾や、クーデターによる政治のリセットをしてきたタイ式の政治運営。12月の総選挙をはじめ今後、真の民主主義へと成長していくのか、タイ民主主義の行方が注目されるという話でした。
最後にタイ最南部のイスラム問題の話題です。80%がイスラム教徒というヤラ・パタニ・ナラティワット3県がタイからの分離独立を求めてタイ政府と対立しています。タクシン時代に両者の関係が悪化し、2004年からの2年半で2300人もの人が、テロにより亡くなっているそうです。日常的にテロが発生していて今も沈静化していません。
しかし石油などの資源がない地域で、外国人が対象となっていないこともあって、国際社会からの関心が薄いのが現状とのこと。日本人として実際に何かできる訳ではないものの、イスラム問題の動向にも注目してもらいたいという話で学習会を締めくくられました。










Recent Comments