June 08, 2009

№1069 60代の宿泊旅行減少

       天草灘の夕景
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 09年6月2日、西日本新聞の記事からです。

 政府は2日、泊まりがけで国内の観光旅行に出掛ける回数が減少傾向にあり、特に1人当たりの旅行回数が最も多かった60代では、ピークの04年度から07年度には19%も落ち込み、年1.86回だったとする08年度観光白書を閣議決定した。

 減少の背景について白書は、60代を迎えた団塊の世代が老後の生活設計や自分の健康に不安を持ち、旅行への意欲を失っていると分析。またアンケートの結果、若年層は所得や休暇の減少、家族層は教育費の増加や所得の減少、親と子どもの休みが合わないことを、旅行が減った理由に挙げる回答が多かった。

 これを受け観光庁は、各世代のニーズに合った旅行商品を開発することを提案。特に大量退職期の団塊の世代は「将来の旅行需要を牽引する層」として、長期滞在や平日旅行がしやすい観光地を作るなど重点的な対策が必要としている。
 白書によると、1人当たりの年間の国内宿泊観光旅行の回数は、20代以上の全体の平均は07年度が1.50回で、ピークの05年度から15%減。中でも60代は04年度の2.31回から19%減少した(以上抜粋)。


 60代の国内宿泊旅行の回数が、04年度から0.5回も減っているとのこと。最も旅行に出掛けることが多い世代である60代が一番減少しているといいます。その大きな理由は、将来の生活不安でしょう。社会保険庁の年金問題がよく取り上げられていた時期に合致します。
 また団塊の世代は07年に60歳、ようやく定年を迎え始めたところですから、ここでいう60代には入りません。なので同世代が、旅行の意欲を失っているかどうかは疑問です。定年を迎えたといっても、まだ働いていてリタイアしていない人も多いはず。

 政府が今年3月28日から2年間限定で始めた「土日祝、高速道路どこまで走っても1000円」、このインパクトは大きいものがあります。利用しない手はありません。まったくETCに関心がなかった私でさえ、最近ようやくETCを手に入れて取り付けたくらいですから。
 09年は、きっと旅行回数が回復することでしょう。ただ2年経過後、1000円は無理だとしても何らかの割引サービスの存続が必要です。せっかくのETCブーム、旅行熱が冷めてしまいかねません。景気対策のためだけでなく、家族そろって手軽に宿泊旅行に出掛けられる工夫や支援が求められていると思います。

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March 12, 2008

№830 定年「うつ」

     早朝、托鉢の行列
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 08年2月25日、朝日新聞の記事からです。

 「定年」。人生の大きな節目だ。
 団塊の世代が次々、定年を迎えていく。仕事に価値を求めてきた人は、体力的な衰えを感じているところへ、仕事を失う寂しさやストレスが加わる。さらに、仕事一筋だったため、地域にもなかなか入っていけない。慶大の大野教授(精神科)は「定年前後は気持ちが動揺しやすいので注意が必要です」と話す。
 
 40代後半以降の初老期・高齢期の「うつ」の特徴は、若い時の「もの悲しさ」と異なり、「何をやっても楽しくない」「おっくう」「充実感がない」などが目立つ。会社をやめた後だけでなく、定年の日が近づくにつれて、心に穴が空いたようになる人もいる。
 どうやって生きがいを見つけていくか。東京都老人総合研究所などが実施した、こんな調査がある。ボランティアや、公園の掃除や子守など地域や家庭でできる活動をしている人は、していない人より生きがいを感じている割合が3倍高かった。大野さんは「定年前から『地域で新しいことを始める』『夫婦で共通の趣味を見つける』など人間関係を再構築するすることが大切です」とアドバイスする(抜粋)。

 定年を節目に「うつ」になる人が多いというのは頷けます。「会社人間」だった人が、リタイア後地域に溶け込めないからです。定年男性の“引きこもり”も同根でしょう。
 定年を迎え、現役時代からリタイアへと移行して行きます。しかし、その過程をいかにスムーズにシフトして行くかが課題なのです。そこで必要になるのが、記事にいう人間関係を再構築するための“きっかけ”です。地域での活動や夫婦共通の趣味もいいですね。
 しかし最も重要なのは、現役からリタイアへの移行過程で「自分自身を見つめ直す」ことではないでしょうか。その上で、定年後の生き方や人間関係を再構築できるのです。その意味で海外のロングステイは、この“きっかけ”としてはお奨めです。

 日本の日常生活を離れた海外生活を通して、これまでの人生を振り返りつつ、心身ともにリフレッシュして、定年期の“うつ”を吹き飛ばしたいものです。

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January 28, 2008

№807 「市民後見人」養成始まる

     広大なメコン川をいく
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 08年1月17日の西日本新聞に「集え団塊、ボランティア精神を発揮しよう」という見出しが、目に留まりました。

 2000年に始まった成年後見制度で、親族や弁護士などがなる第三者後見人の業務を一部補うため、 「高齢社会NGO連携協議会」(高連協)がボランティアの“市民後見人”の養成に取り組んでいる。既に2年間で約3200人が養成講座を受講した。

 この市民後見人は、契約の締結・解除、不動産の処分など後見人の仕事のうち、日常生活に必要な簡単な金銭管理や相談に乗ったりする役割が期待されている。成年後見制度の仕組みや各種事務手続き、認知症の理解など18時間の講習を受けた後、仲間が集まってNPO法人を設立し、専門家からアドバイスを受けながら活動する。
 最高裁判所によると、07年3月末までの7年間で、任意後見と法定後見の申し立て件数は約12万3千件。その後見人の8割は親族で、第三者後見人は2割という。今後、申し立て件数は増えるとみられている。
 高連協による養成で実際に活動している市民後見人はまだいないが、08年2月にはNPO法人の第一号が東京都品川区に誕生する予定。広島や福岡でも設立準備が進んでおり、最終的には20万人規模が目標だ。

 高連協の共同代表で、さわやか福祉財団理事長の堀田力さんは「市民後見人への取り組みはまだまだこれからだが、いずれ頼りにされる時がくる。市民後見人を目指す人は辛抱強さと誠実さを持って、定年退職後の生きがいとしてボランティア精神を発揮してほしい」と話している。(記事抜粋)

 団塊の世代をはじめ、定年を間近に控えている年代を対象にしたアンケートでは、 「リタイヤしたらボランティアをしたい」という回答が必ずあります。しかしどんなボランティア活動があるのか、自分が何ができるのか、よく分からないという方もいるようです。
 この「市民後見人」は、ボランティア志向の具体的な受け皿として、そして超高齢社会からの要請や重要性は高まるものと推察されます。わたしの周りでも、成年後見制度に取り組むNPO法人設立の話を最近よく聞くようになりました。
 ボランティア活動で、社会に貢献したい、生きがいを感じたいと思っている方、「市民後見人」について一度調べてみてはいかがでしょうか?

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January 21, 2008

№803 定年後も働く

  水面に浮かぶアンコールワット
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 08年1月10日の朝日新聞に「定年後も働く」という記事が載っていました。その抜粋です。

 「60歳で定年になったら年金生活」は過去のこと。年金の満額受給の年齢が少しずつ引き上げられていくなかで、60代で働く人も珍しくなくなりました。フルタイムから短時間勤務まで、働き方の選択肢もさまざまです。

 仕事を探している人の割合(労働力率)は60代前半で55%、65歳以上でも20%(総務省調査)。日本の高齢者の就労意欲の高さは、世界でもトップレベルだ。
 背景には、高齢者を取り巻く環境がある。60歳から満額支給だった公的年金は年金財政の悪化を受けて、01年度から段階的に支給開始年齢を遅らしており、25年度(女性は30年度)から65歳にならないともらえないことになる。年金が満額受給できるまで働きたいというニーズは高い。
 さらに少子高齢化による働き手の減少で、現状のままだと労働力人口は30年に1070万人減ると推計されている。このため、厚生労働省は「70歳まで働ける社会」を掲げて、環境整備を進めている。

 高齢者側の事情もある。定年前の団塊の世代を対象にした調査では、働く理由(複数回答)は「生活のため」(83.9%)、「健康のため」(37.1%)など多様だ。その他の理由として「社会とのつながりを維持したい」(29.7%)、「自分の経験・能力を生かしたい」(25.6%)と続いている。

 記事にあるように「生活費が足りない」「ローンが残っている」「年金が満額になるまで」「社会貢献したい」「健康のため」と、団塊の世代の働く目的は多様です。
 また、同世代に「定年後も働く?」と聞いたところ、「働きたい」(38%)、「働きたくないが、働かざるを得ない」(27.1%)と、働くつもりの人が約65%と3分の2を占めています。このようにその理由はさまざまですが、団塊の世代の多くは、定年後も働き続けることになります。

 07年から始まった団塊の世代の大量退職によって、現役世代が急減することや、リタイヤ後何をして過ごすのかという課題、あるいはその影響などについて、いろいろと予想されていましたが、今のところ働き続ける方が大半を占めているようです。大量退職による急激な社会変動ではなく、緩やかにシフトしていくのかもしれません。
 久しぶりの団塊の世代についての新聞記事でしたが、1年前の大騒ぎで終わりではなく、マスコミはその後の状況もレポートしてほしいものですね。

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August 24, 2007

№718 団塊の世代「おとなの長旅」

   トンレサップ湖の水上家屋
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 07年8月12日の西日本新聞に、団塊の世代をターゲットにした「おとなの長旅」という記事が載りました、また13日の設立総会の模様が、NHKでも報道されました。
 
 団塊の世代の大量退職時代をにらみ、九州でロングステイの確立を目指す実証事業「おとなの長旅・九州」が10月から12月まで行われる。2回目の今年は事業規模を拡大し、別府(大分県)や平戸(長崎県)など九州の8地域で計23のプログラムを準備している。同事業を実施するのは、JTB九州やJR九州、九州運輸局、地域の窓口など計15団体。

 「おとなの長旅」は昨年、北部九州を中心に5地域で実施したが、今回は南九州にも対象を広げ、綾(宮崎県)、北薩摩(鹿児島県)などを加えた。旅行は4泊5日から10泊11日まで。プログラムは「ゴルフ三昧」「湯治」「焼き物」など自然環境や歴史文化を生かし「ここでしかできない」体験に特化した「テーマ追求型」と、将来的な移住を検討する人のための「お試し暮らし型」がある。 飲食店案内など地域の情報をきめ細かく参加者に提供する民間人の地域コンシェルジュ(案内人)を設置する。(以上)


 また、近頃発表された06年の「九州農業白書」でも、ふるさとへの回帰願望がある団塊の世代の大量退職時代を迎え、スローライフへの関心が高まってきたと分析。農業体験ツアーから就農・定住支援まで都市との交流や都市からの定住者の力を生かせば、地方の活性化が期待できると報告しています。

 今年から本格化する団塊の世代の定年退職。その大量退職を見越して昨年後半から、シニアビジネス、田舎暮らし、国内移住、海外ロングステイなどを期待する報道が数多く見られました。しかし今のところあまり大きな動きを聞きません。好景気に伴う雇用環境の改善や人手不足などによって、再雇用や再就職している方が多く、まだリタイアしている人が少ないのではと思われます。
 しかし、官民が協働して地道にこのような活動を継続することが重要です。都市部に住んでいる割合が比較的多い団塊の世代。地域の格差が拡大していると言われる昨今、地方の活性化の一翼を担うのは、団塊の世代だと思うのですが。

 福岡だけでなく、東京・大阪でも説明会が開かれるようです。詳しくはこちらまで。
 http://www.nagatabi.jp/

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June 12, 2007

№677 オトコの地域デビュー

  バンテアイ・スレイの美しい彫刻
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 07年5月31日の朝日新聞「オトコの老い支度」というシリーズに男性の地域デビューの記事が載りました。
 仕事一筋で生きてきた。昔の友だちとも疎遠になり、近所にも知り合いがいない。そんな男性が独り身になり、老いを迎えると・・・。
 内閣府が昨年1月、65歳以上の男女約2800人に聞いたところ、一人暮らしの男性は近所付き合いが「ない」は24%(女性7%)で、「訪ね合う相手がいる」は15%(女性39%)だけ。「親しい友人がいない」は41%(女性22%)にのぼった。女性よりずいぶん孤独な生活を送っている。

 宇都宮大学の廣瀬教授は、各地で退職後の男性の「地域デビュー」を支援する活動にかかわっていて、女性の反感を買ったり、男性同士でぶつかったりするケースをよく見るそうだ。 「プライドを持って仕事中心に生きてきた男性が、急に『ただのオヤジ』にはなれない。会社では我慢してでも付き合うのが普通だったが、地域では嫌な人と思われれば相手にされなくなってしまう」。
 「地域デビュー」で嫌われるタイプ。たとえば「私が海外に行った時は・・・」という「自慢話型」。「~という見方もあるが・・・」という「評論家型」。つまり自分の考えは出さないこと。「女はみんなそうだから・・・」という「人権無視型」。そして最後に「長話型」の4つ。
 
 地域に入っていくポイントは何か。経験者の声を集めて「地域デビュースタートブック」を作った廣瀬さんにアドバイスしてもらった。
 第一に「教えてやる」という考え方を捨てること。ボランティアに参加しても障害者や外国人に対して「助けてあげる」という気持ちが強いと「お礼を言わない」「頑張りが足りない」と不満に思ってしまう。求められているのは、指導者ではなく友だちだ。
 第二に、人の話を遮らずに最後まで聞くこと。まちづくりグループで、ある男性の態度について「頭ごなしに言い過ぎる」と女性たちが反発し、打ち解けるのに2年ほどかかったことがある。女性は地域の先輩。意見を尊重しないとうまくいかない。
 第三に、相手を避けずに、時間をかけること。中高年の男性同士は一度ぶつかったら決別しやすい。でも「これから嫌なことを言う。後で飲みに行ってくれ」と口説いて仲が深まったケースもあるそうだ。「時間がかかって当たり前。相手を避けないことが大切です」と廣瀬さん。

 今年から始まった団塊の世代の大量退職。定年を迎えて「地域デビュー」を果たして、自分が住む地域社会に無事ソフトランディングできているでしょうか。廣瀬教授のアドバイスは貴重な示唆を含んでいます。「地域デビュー」するには、長年の会社生活で染み付いたプライドを置いといて、一人の個人として地域の方と付き合うことができるかがポイントになります。
 また“女性は地域の先輩”、なるほどその通りですね。女性の話をよく聞いて、意見を尊重しながら付き合っていると、案外うまく「地域デビュー」できるかもしれませんね。

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May 31, 2007

№670 団塊よ、海外で奉仕を

アンコールワットからジャングルを望む
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 07年5月24日の西日本新聞に「シニア海外ボランティア」の募集枠が拡大されたとの記事が載りました。

 オヤジたちよ、大志を抱け―。政府開発援助(ODA)を基に途上国を支援する国際協力機構(JICA)は、青年海外協力隊の“中高年版”「シニア海外ボランティア」の募集に力を入れている。政府方針で本年度は2割強を増員。ターゲットは大量退職が始まった団塊の世代だ。高度成長期を生き抜いた彼らの知識・経験を生かし、同時に「第二の人生」の受け皿にする一石二鳥を狙うが、説明会の参加者は伸び悩み気味。JICAはPRに懸命だ。

 「妻は一緒に連れて行けるのか」「現地の安全対策は万全なのか」。今月北九州市で開かれたシニアの説明会。50代前半を中心に32人が参加、真剣な質問が矢継ぎ早に飛んだ。
 シニア隊員は、40歳から69歳までが対象。医療・保健・社会福祉・農林水産など9分野で春、秋の年2回募集。隊員になれば主に2年間、途上国に滞在し活動する。
 再チャレンジ支援策を打ち出している安倍内閣は団塊の世代ら中高年の活躍の場を広げるため、シニア制度に注目。募集枠を約500人から約620人へと広げた。
 これに合わせ、JICAはシニアの選考基準を変更。語学よりやる気や経験に比重を移し、合格者の語学力を向上させるため派遣前の長期研修を導入。国内の施設に65日間泊まり、210時間学ぶ。「語学が苦手な人もトライしやすくなった」とJICA。

 門戸を広げた今春の募集状況が注目されているが、九州各県で4~5月にあった募集説明会の参加者は計284人と過去7年間で3番目に少なく、昨秋より微減した。九州での説明会の状況を見る限り、シニア制度への関心が高まっているとはいえない状況だ。
 背景として聖徳大の福留教授は「競争社会で生きてきた団塊の世代には、ボランティアなど地域活動の素地があまりなく、二の足を踏んでいるのでは」と推測。またJICAはPR不足を認めた上で「国内の製造業の好転により、再雇用されて工場のある中国などに赴く技術者が少なくない」と“競合”も指摘する。

 「海外で自分の力を試したい」「日本で働いていた時よりも成果がよく見える。現地に貢献できたとの実感が得られ、うれしかった」など希望者や経験者の率直な感想も。
 JICAでは「海外での活動をぜひ、後半生の選択肢に入れてほしい」と呼びかけている。


 説明会の参加者が伸び悩んでいるとは意外でした。団塊の世代が定年を迎え始め「シニア海外ボランティア」は、有望なリタイア後の選択肢だと思っていたからです。国内景気の回復と若年層への技術の継承の問題等から、定年延長や再雇用される方が多いのかもしれません。またPR不足もあるのでしょう。
 実は数年前に1度、募集説明会に参加したことがあります。会場は熱心に説明を聞く参加者で盛況でした。しかし、募集分野が限定されていることや語学力などかなりハードルが高くて、希望者のせっかくの意欲が萎えてしまうのではと感じた記憶があります。ただ今回は、選考基準を語学よりも“やる気や経験”に比重を移しているそうですから、意欲のある方が海外で活躍するチャンスが増えることを期待したいものです。

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May 18, 2007

№662 団塊、アジアへ行く

 屋台での朝食 シェムリアップにて
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 07年5月12日に朝日新聞からです。
 団塊の世代よ、めざせアジア―。定年を迎えたが「まだまだやれる」というシニアたちが、ものづくりの技術や管理能力に長けた人を求めるアジアの企業に、新しい活躍の場を求め始めた。

 「現地の人たちと一緒に苦労しながら、新しいことに取り組むのがおもしろい。収入は落ちても興味は尽きません」。3度目のアジアを目指す理由を神奈川県の男性(59)はそういう。55歳の時、外資系会社を選択定年で辞めた。3人の子どもはほぼ独立し、住宅ローンも払い終わっていた。体力のあるうちは別の仕事にチャレンジしたかった。
 工場の管理職経験を活かし、中堅の金属加工会社に短期に雇われ中国・広東に派遣された。ここで知り合った人の紹介でシンガポールの企業に移り、コンピューター機器の組み立て工場設立に1年間奔走した。元々英語はできる。工場長として営業もこなした。深夜残業や徹夜が続いたが、達成感の方が大きかった。
 帰国して1年。またやる気がみなぎってきた。「今度は3~4年の仕事なら国は問わない」と、人材会社に相談中だ。

 都内のノンバンク系で働く男性(59)は、行員時代に駐在したインドネシアカマレーシアで、総務・人事系の職を探している。人材会社に登録して、仕事が見つかれば早めに転身するつもりだ。
 今の会社には雇用延長制度があるが考えていない。行員時代の年収は1500万円、今のノンバンクでも800万円。高収入と引き換えに、上司にもお客にも気を使い頭を下げてきた生活に別れを告げたい。
 「会社のしがらみを断って、もう一度海外に飛び出したい。体力が十分あるのはあと数年。お金と仕事の楽しさなら、今度は楽しさを選択したい」

 人材会社も、団塊の世代に注目し始めた。3月下旬、東京で「団塊の世代、技術者のためのアジア転職セミナー」が開かれた。現地の就労事情や生活環境を説明。団塊の世代を含む40~60代の15人に「日本の成長期を支えてきたみなさんの技術や経験を伝えていただきたい」と呼びかけた。求人の大半は日本企業の現地法人だ。自動車部品や電機メーカーの技術職、工場の管理職など製造業が多い。「どの程度の専門知識が必要か」「住宅事情は」などの質問も相次いだ。
 別の大手人材会社では「日本人技術者への需要は多いが、現地の給与水準だとミスマッチもおきる。定年を迎えた人なら働き盛りよりも給与を低く抑えられ、人材不足の緩和に役立つ」という。
 賃金などの条件が折り合えば、現地面接に進む。紹介料は求人企業が払い、求職者は一般的に無料だが、面接のための渡航費などは自己負担が多い。 


 定年を迎えてもバリバリ現役の団塊の世代。就職を希望する側としては、ある程度の水準の待遇でまだ働くことができる。一方の企業側は、豊かな経験や技術を持った団塊の世代を割安に雇用できるということで、双方にメリットがあるようです。
 必要とされる技能や経験を海外で活かせるのであれば、本人にとっても幸せなことでしょう。ボランティアではなく現役として働く、その場がアジアにあるのであれば思い切って飛び出すのもいいかもしれません。仕事を続けながらも、これまでの日本のしがらみから解放されて、人生の楽しさを得られるのかもしれないのですから。

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April 12, 2007

№641 公民館デビュー

      大阪造幣局の桜
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 07年4月1日の朝日新聞の記事「団塊よ公民館へ行こう」からです。福岡の西部ガスから九州大学に出向している加留部特任准教授が紹介されています。

 何をすれば、生きがいのある充実した第二の人生を送ることができるか。「団塊の世代」が大量退職する07年を迎え、リタイア後の生活に不安を抱く人は多い。そんな悩める退職者に「公民館デビュー」を勧めている。定年後、組織を離れて暮らす時間は約20年間。この長い期間を生き生きと過ごすために訴えるのが「地域とのつながりを持つことの大切さ」だ。

 「公民館デビュー」とは、母親が我が子と近くの公園に行く「公園デビュー」の退職者版。団塊の世代の多くは、20歳前後からのほとんどの時間を、会社や団体などの組織に属してきた。定年後の「生きがい探し」の第一歩として、地域交流の場である公民館に足を踏み入れてみよう、という試みだ。
 「一人でできる趣味もいいが、仲間がいれば会話も弾み、酒を酌み交わすことだってできる。会社とは違う世界が広がっている」

 定年後の生きがいづくりとして、NPOやボランティア活動が受け皿にならないかとも考える。「やりたいことをやる。やりたくないことはやらないのがボランティア。まずは地域に目を向けてみることが、社会とのつながりを始める第一歩。まずはゴミを出すことからでもよいので、地域に出ることから始めてみてほしい」

 №636,637「ロングステイは肩書き外しのトレーニング」でも書きましたが、「会社人間」だった男性が、定年後どうやって「地域人間」に変われるかは大きな課題です。そのきっかけやどのように定年後の生き方を見つけてよいのか分からないという方も少なくないでしょう。
 その第一歩として「公民館デビュー」というのもいいかもしれませんね。公民館というと地域の自治会・町内会の集会や会合に利用されるだけでなく、趣味や運動などの各種教室の場にもなっていることが多いはずです。まずは自分が関心の持てる教室に参加して、地域の仲間や顔馴染みを作ることから始めてみるのもいいでしょう。
 ただし現役時代の肩書きは置いといて、一人の個人として地域の方と接することを忘れてはいけません。

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January 28, 2007

№594 団塊、帰郷足踏み

  バンコクのクロントイ市場にて
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 07年1月8日の朝日新聞に「団塊、帰郷足踏み」という記事が載りました。

 団塊の世代の大量退職が今年、始まる。地域経済が停滞する地方は、潤沢な金融資産を持つ団塊の世代を呼び込んで再生の起爆剤にしたいともくろむ。同世代の約半数は3大都市圏に住んでいるが、シンクタンクの推測では、引退に向けて生活拠点を移すのは、わずか1%程度、というものです。

 団塊の世代は、進学や就職を機に地方から大都市に出てきた人が多く、定年後、帰郷も考えなくはない。衰退著しい地方の自治体は、団塊の世代の帰郷に期待を寄せる。「団塊1人が移住すれば、住宅購入や観光などの支出にと、1億円の経済効果はある」との話も。
 しかし、自治体の思惑通りにいきそうにない。国立社会保障・人口問題研究所の「都道府県の将来推計人口」に基づき、大和総研が団塊の世代を含む55~59歳層の2015年までの分布の変化を調べた結果、増加する都道府県全体で上昇率は0.9%。県境を越えるのは計9万人にとどまるといいます。

 例えば東北の団塊の世代の場合、10代後半から20代前半にかけて主に東京圏へと移り、その後ほとんど戻っていない。その背景について、慶応大学の大江教授は「妻が地域社会でネットワークを築いているのに加え、首都圏に住む子どもの子育てを手伝うようになり、夫が戻ろうと言っても賛成しない」と指摘する。 

 その一方で、団塊の世代には移住希望が多いとのデータもある。国土交通省が団塊の世代の今後の居住動向について調べたところ、東京圏では移住希望者が40%いた。しかし、大江教授は「実際に移動した、あるいは必ず実現できるという人は、3.1%。60歳を過ぎても働きたいと考える人が多く、仕事を探す上でも移住に踏み切る人はわずかだろう」とみる。


 団塊の世代の定年後の居住地や生き方については、いろいろな調査やデータがありますが、これまでの世代以上に、団塊の世代が国内移住をはじめ、海外ロングステイや海外移住を実行に移すのでは、という予想が多い中、今回の調査は、意外な感じがします。県外への移動が、9万人というのは少ないのではという印象を受けますね。
 しかし、奥さんの意向が大きいという点は頷けるものがあります。海外ロングステイの調査でも、奥さんが反対した場合、実行に移されないケースがよくあるからです。ご主人がロングステイを計画しても、奥さんが趣味の仲間や友人、ボランティア活動など、地域でのネットワークから離れるのを嫌うからです。ましてや海外での生活に関心がなかったり、現地での滞在目的がなかったりすると、なおさらです。
 
 さて、団塊の世代が定年を機に、田舎暮らしを始めるのか、そのまま大都市に住み続けるのか、注目していきたいと思います。
 

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