March 12, 2008

№830 定年「うつ」

     早朝、托鉢の行列
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 08年2月25日、朝日新聞の記事からです。

 「定年」。人生の大きな節目だ。
 団塊の世代が次々、定年を迎えていく。仕事に価値を求めてきた人は、体力的な衰えを感じているところへ、仕事を失う寂しさやストレスが加わる。さらに、仕事一筋だったため、地域にもなかなか入っていけない。慶大の大野教授(精神科)は「定年前後は気持ちが動揺しやすいので注意が必要です」と話す。
 
 40代後半以降の初老期・高齢期の「うつ」の特徴は、若い時の「もの悲しさ」と異なり、「何をやっても楽しくない」「おっくう」「充実感がない」などが目立つ。会社をやめた後だけでなく、定年の日が近づくにつれて、心に穴が空いたようになる人もいる。
 どうやって生きがいを見つけていくか。東京都老人総合研究所などが実施した、こんな調査がある。ボランティアや、公園の掃除や子守など地域や家庭でできる活動をしている人は、していない人より生きがいを感じている割合が3倍高かった。大野さんは「定年前から『地域で新しいことを始める』『夫婦で共通の趣味を見つける』など人間関係を再構築するすることが大切です」とアドバイスする(抜粋)。

 定年を節目に「うつ」になる人が多いというのは頷けます。「会社人間」だった人が、リタイア後地域に溶け込めないからです。定年男性の“引きこもり”も同根でしょう。
 定年を迎え、現役時代からリタイアへと移行して行きます。しかし、その過程をいかにスムーズにシフトして行くかが課題なのです。そこで必要になるのが、記事にいう人間関係を再構築するための“きっかけ”です。地域での活動や夫婦共通の趣味もいいですね。
 しかし最も重要なのは、現役からリタイアへの移行過程で「自分自身を見つめ直す」ことではないでしょうか。その上で、定年後の生き方や人間関係を再構築できるのです。その意味で海外のロングステイは、この“きっかけ”としてはお奨めです。

 日本の日常生活を離れた海外生活を通して、これまでの人生を振り返りつつ、心身ともにリフレッシュして、定年期の“うつ”を吹き飛ばしたいものです。

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January 28, 2008

№807 「市民後見人」養成始まる

     広大なメコン川をいく
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 08年1月17日の西日本新聞に「集え団塊、ボランティア精神を発揮しよう」という見出しが、目に留まりました。

 2000年に始まった成年後見制度で、親族や弁護士などがなる第三者後見人の業務を一部補うため、 「高齢社会NGO連携協議会」(高連協)がボランティアの“市民後見人”の養成に取り組んでいる。既に2年間で約3200人が養成講座を受講した。

 この市民後見人は、契約の締結・解除、不動産の処分など後見人の仕事のうち、日常生活に必要な簡単な金銭管理や相談に乗ったりする役割が期待されている。成年後見制度の仕組みや各種事務手続き、認知症の理解など18時間の講習を受けた後、仲間が集まってNPO法人を設立し、専門家からアドバイスを受けながら活動する。
 最高裁判所によると、07年3月末までの7年間で、任意後見と法定後見の申し立て件数は約12万3千件。その後見人の8割は親族で、第三者後見人は2割という。今後、申し立て件数は増えるとみられている。
 高連協による養成で実際に活動している市民後見人はまだいないが、08年2月にはNPO法人の第一号が東京都品川区に誕生する予定。広島や福岡でも設立準備が進んでおり、最終的には20万人規模が目標だ。

 高連協の共同代表で、さわやか福祉財団理事長の堀田力さんは「市民後見人への取り組みはまだまだこれからだが、いずれ頼りにされる時がくる。市民後見人を目指す人は辛抱強さと誠実さを持って、定年退職後の生きがいとしてボランティア精神を発揮してほしい」と話している。(記事抜粋)

 団塊の世代をはじめ、定年を間近に控えている年代を対象にしたアンケートでは、 「リタイヤしたらボランティアをしたい」という回答が必ずあります。しかしどんなボランティア活動があるのか、自分が何ができるのか、よく分からないという方もいるようです。
 この「市民後見人」は、ボランティア志向の具体的な受け皿として、そして超高齢社会からの要請や重要性は高まるものと推察されます。わたしの周りでも、成年後見制度に取り組むNPO法人設立の話を最近よく聞くようになりました。
 ボランティア活動で、社会に貢献したい、生きがいを感じたいと思っている方、「市民後見人」について一度調べてみてはいかがでしょうか?

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January 21, 2008

№803 定年後も働く

  水面に浮かぶアンコールワット
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 08年1月10日の朝日新聞に「定年後も働く」という記事が載っていました。その抜粋です。

 「60歳で定年になったら年金生活」は過去のこと。年金の満額受給の年齢が少しずつ引き上げられていくなかで、60代で働く人も珍しくなくなりました。フルタイムから短時間勤務まで、働き方の選択肢もさまざまです。

 仕事を探している人の割合(労働力率)は60代前半で55%、65歳以上でも20%(総務省調査)。日本の高齢者の就労意欲の高さは、世界でもトップレベルだ。
 背景には、高齢者を取り巻く環境がある。60歳から満額支給だった公的年金は年金財政の悪化を受けて、01年度から段階的に支給開始年齢を遅らしており、25年度(女性は30年度)から65歳にならないともらえないことになる。年金が満額受給できるまで働きたいというニーズは高い。
 さらに少子高齢化による働き手の減少で、現状のままだと労働力人口は30年に1070万人減ると推計されている。このため、厚生労働省は「70歳まで働ける社会」を掲げて、環境整備を進めている。

 高齢者側の事情もある。定年前の団塊の世代を対象にした調査では、働く理由(複数回答)は「生活のため」(83.9%)、「健康のため」(37.1%)など多様だ。その他の理由として「社会とのつながりを維持したい」(29.7%)、「自分の経験・能力を生かしたい」(25.6%)と続いている。

 記事にあるように「生活費が足りない」「ローンが残っている」「年金が満額になるまで」「社会貢献したい」「健康のため」と、団塊の世代の働く目的は多様です。
 また、同世代に「定年後も働く?」と聞いたところ、「働きたい」(38%)、「働きたくないが、働かざるを得ない」(27.1%)と、働くつもりの人が約65%と3分の2を占めています。このようにその理由はさまざまですが、団塊の世代の多くは、定年後も働き続けることになります。

 07年から始まった団塊の世代の大量退職によって、現役世代が急減することや、リタイヤ後何をして過ごすのかという課題、あるいはその影響などについて、いろいろと予想されていましたが、今のところ働き続ける方が大半を占めているようです。大量退職による急激な社会変動ではなく、緩やかにシフトしていくのかもしれません。
 久しぶりの団塊の世代についての新聞記事でしたが、1年前の大騒ぎで終わりではなく、マスコミはその後の状況もレポートしてほしいものですね。

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August 24, 2007

№718 団塊の世代「おとなの長旅」

   トンレサップ湖の水上家屋
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 07年8月12日の西日本新聞に、団塊の世代をターゲットにした「おとなの長旅」という記事が載りました、また13日の設立総会の模様が、NHKでも報道されました。
 
 団塊の世代の大量退職時代をにらみ、九州でロングステイの確立を目指す実証事業「おとなの長旅・九州」が10月から12月まで行われる。2回目の今年は事業規模を拡大し、別府(大分県)や平戸(長崎県)など九州の8地域で計23のプログラムを準備している。同事業を実施するのは、JTB九州やJR九州、九州運輸局、地域の窓口など計15団体。

 「おとなの長旅」は昨年、北部九州を中心に5地域で実施したが、今回は南九州にも対象を広げ、綾(宮崎県)、北薩摩(鹿児島県)などを加えた。旅行は4泊5日から10泊11日まで。プログラムは「ゴルフ三昧」「湯治」「焼き物」など自然環境や歴史文化を生かし「ここでしかできない」体験に特化した「テーマ追求型」と、将来的な移住を検討する人のための「お試し暮らし型」がある。 飲食店案内など地域の情報をきめ細かく参加者に提供する民間人の地域コンシェルジュ(案内人)を設置する。(以上)


 また、近頃発表された06年の「九州農業白書」でも、ふるさとへの回帰願望がある団塊の世代の大量退職時代を迎え、スローライフへの関心が高まってきたと分析。農業体験ツアーから就農・定住支援まで都市との交流や都市からの定住者の力を生かせば、地方の活性化が期待できると報告しています。

 今年から本格化する団塊の世代の定年退職。その大量退職を見越して昨年後半から、シニアビジネス、田舎暮らし、国内移住、海外ロングステイなどを期待する報道が数多く見られました。しかし今のところあまり大きな動きを聞きません。好景気に伴う雇用環境の改善や人手不足などによって、再雇用や再就職している方が多く、まだリタイアしている人が少ないのではと思われます。
 しかし、官民が協働して地道にこのような活動を継続することが重要です。都市部に住んでいる割合が比較的多い団塊の世代。地域の格差が拡大していると言われる昨今、地方の活性化の一翼を担うのは、団塊の世代だと思うのですが。

 福岡だけでなく、東京・大阪でも説明会が開かれるようです。詳しくはこちらまで。
 http://www.nagatabi.jp/

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June 12, 2007

№677 オトコの地域デビュー

  バンテアイ・スレイの美しい彫刻
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 07年5月31日の朝日新聞「オトコの老い支度」というシリーズに男性の地域デビューの記事が載りました。
 仕事一筋で生きてきた。昔の友だちとも疎遠になり、近所にも知り合いがいない。そんな男性が独り身になり、老いを迎えると・・・。
 内閣府が昨年1月、65歳以上の男女約2800人に聞いたところ、一人暮らしの男性は近所付き合いが「ない」は24%(女性7%)で、「訪ね合う相手がいる」は15%(女性39%)だけ。「親しい友人がいない」は41%(女性22%)にのぼった。女性よりずいぶん孤独な生活を送っている。

 宇都宮大学の廣瀬教授は、各地で退職後の男性の「地域デビュー」を支援する活動にかかわっていて、女性の反感を買ったり、男性同士でぶつかったりするケースをよく見るそうだ。 「プライドを持って仕事中心に生きてきた男性が、急に『ただのオヤジ』にはなれない。会社では我慢してでも付き合うのが普通だったが、地域では嫌な人と思われれば相手にされなくなってしまう」。
 「地域デビュー」で嫌われるタイプ。たとえば「私が海外に行った時は・・・」という「自慢話型」。「~という見方もあるが・・・」という「評論家型」。つまり自分の考えは出さないこと。「女はみんなそうだから・・・」という「人権無視型」。そして最後に「長話型」の4つ。
 
 地域に入っていくポイントは何か。経験者の声を集めて「地域デビュースタートブック」を作った廣瀬さんにアドバイスしてもらった。
 第一に「教えてやる」という考え方を捨てること。ボランティアに参加しても障害者や外国人に対して「助けてあげる」という気持ちが強いと「お礼を言わない」「頑張りが足りない」と不満に思ってしまう。求められているのは、指導者ではなく友だちだ。
 第二に、人の話を遮らずに最後まで聞くこと。まちづくりグループで、ある男性の態度について「頭ごなしに言い過ぎる」と女性たちが反発し、打ち解けるのに2年ほどかかったことがある。女性は地域の先輩。意見を尊重しないとうまくいかない。
 第三に、相手を避けずに、時間をかけること。中高年の男性同士は一度ぶつかったら決別しやすい。でも「これから嫌なことを言う。後で飲みに行ってくれ」と口説いて仲が深まったケースもあるそうだ。「時間がかかって当たり前。相手を避けないことが大切です」と廣瀬さん。

 今年から始まった団塊の世代の大量退職。定年を迎えて「地域デビュー」を果たして、自分が住む地域社会に無事ソフトランディングできているでしょうか。廣瀬教授のアドバイスは貴重な示唆を含んでいます。「地域デビュー」するには、長年の会社生活で染み付いたプライドを置いといて、一人の個人として地域の方と付き合うことができるかがポイントになります。
 また“女性は地域の先輩”、なるほどその通りですね。女性の話をよく聞いて、意見を尊重しながら付き合っていると、案外うまく「地域デビュー」できるかもしれませんね。

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May 31, 2007

№670 団塊よ、海外で奉仕を

アンコールワットからジャングルを望む
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 07年5月24日の西日本新聞に「シニア海外ボランティア」の募集枠が拡大されたとの記事が載りました。

 オヤジたちよ、大志を抱け―。政府開発援助(ODA)を基に途上国を支援する国際協力機構(JICA)は、青年海外協力隊の“中高年版”「シニア海外ボランティア」の募集に力を入れている。政府方針で本年度は2割強を増員。ターゲットは大量退職が始まった団塊の世代だ。高度成長期を生き抜いた彼らの知識・経験を生かし、同時に「第二の人生」の受け皿にする一石二鳥を狙うが、説明会の参加者は伸び悩み気味。JICAはPRに懸命だ。

 「妻は一緒に連れて行けるのか」「現地の安全対策は万全なのか」。今月北九州市で開かれたシニアの説明会。50代前半を中心に32人が参加、真剣な質問が矢継ぎ早に飛んだ。
 シニア隊員は、40歳から69歳までが対象。医療・保健・社会福祉・農林水産など9分野で春、秋の年2回募集。隊員になれば主に2年間、途上国に滞在し活動する。
 再チャレンジ支援策を打ち出している安倍内閣は団塊の世代ら中高年の活躍の場を広げるため、シニア制度に注目。募集枠を約500人から約620人へと広げた。
 これに合わせ、JICAはシニアの選考基準を変更。語学よりやる気や経験に比重を移し、合格者の語学力を向上させるため派遣前の長期研修を導入。国内の施設に65日間泊まり、210時間学ぶ。「語学が苦手な人もトライしやすくなった」とJICA。

 門戸を広げた今春の募集状況が注目されているが、九州各県で4~5月にあった募集説明会の参加者は計284人と過去7年間で3番目に少なく、昨秋より微減した。九州での説明会の状況を見る限り、シニア制度への関心が高まっているとはいえない状況だ。
 背景として聖徳大の福留教授は「競争社会で生きてきた団塊の世代には、ボランティアなど地域活動の素地があまりなく、二の足を踏んでいるのでは」と推測。またJICAはPR不足を認めた上で「国内の製造業の好転により、再雇用されて工場のある中国などに赴く技術者が少なくない」と“競合”も指摘する。

 「海外で自分の力を試したい」「日本で働いていた時よりも成果がよく見える。現地に貢献できたとの実感が得られ、うれしかった」など希望者や経験者の率直な感想も。
 JICAでは「海外での活動をぜひ、後半生の選択肢に入れてほしい」と呼びかけている。


 説明会の参加者が伸び悩んでいるとは意外でした。団塊の世代が定年を迎え始め「シニア海外ボランティア」は、有望なリタイア後の選択肢だと思っていたからです。国内景気の回復と若年層への技術の継承の問題等から、定年延長や再雇用される方が多いのかもしれません。またPR不足もあるのでしょう。
 実は数年前に1度、募集説明会に参加したことがあります。会場は熱心に説明を聞く参加者で盛況でした。しかし、募集分野が限定されていることや語学力などかなりハードルが高くて、希望者のせっかくの意欲が萎えてしまうのではと感じた記憶があります。ただ今回は、選考基準を語学よりも“やる気や経験”に比重を移しているそうですから、意欲のある方が海外で活躍するチャンスが増えることを期待したいものです。

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May 18, 2007

№662 団塊、アジアへ行く

 屋台での朝食 シェムリアップにて
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 07年5月12日に朝日新聞からです。
 団塊の世代よ、めざせアジア―。定年を迎えたが「まだまだやれる」というシニアたちが、ものづくりの技術や管理能力に長けた人を求めるアジアの企業に、新しい活躍の場を求め始めた。

 「現地の人たちと一緒に苦労しながら、新しいことに取り組むのがおもしろい。収入は落ちても興味は尽きません」。3度目のアジアを目指す理由を神奈川県の男性(59)はそういう。55歳の時、外資系会社を選択定年で辞めた。3人の子どもはほぼ独立し、住宅ローンも払い終わっていた。体力のあるうちは別の仕事にチャレンジしたかった。
 工場の管理職経験を活かし、中堅の金属加工会社に短期に雇われ中国・広東に派遣された。ここで知り合った人の紹介でシンガポールの企業に移り、コンピューター機器の組み立て工場設立に1年間奔走した。元々英語はできる。工場長として営業もこなした。深夜残業や徹夜が続いたが、達成感の方が大きかった。
 帰国して1年。またやる気がみなぎってきた。「今度は3~4年の仕事なら国は問わない」と、人材会社に相談中だ。

 都内のノンバンク系で働く男性(59)は、行員時代に駐在したインドネシアカマレーシアで、総務・人事系の職を探している。人材会社に登録して、仕事が見つかれば早めに転身するつもりだ。
 今の会社には雇用延長制度があるが考えていない。行員時代の年収は1500万円、今のノンバンクでも800万円。高収入と引き換えに、上司にもお客にも気を使い頭を下げてきた生活に別れを告げたい。
 「会社のしがらみを断って、もう一度海外に飛び出したい。体力が十分あるのはあと数年。お金と仕事の楽しさなら、今度は楽しさを選択したい」

 人材会社も、団塊の世代に注目し始めた。3月下旬、東京で「団塊の世代、技術者のためのアジア転職セミナー」が開かれた。現地の就労事情や生活環境を説明。団塊の世代を含む40~60代の15人に「日本の成長期を支えてきたみなさんの技術や経験を伝えていただきたい」と呼びかけた。求人の大半は日本企業の現地法人だ。自動車部品や電機メーカーの技術職、工場の管理職など製造業が多い。「どの程度の専門知識が必要か」「住宅事情は」などの質問も相次いだ。
 別の大手人材会社では「日本人技術者への需要は多いが、現地の給与水準だとミスマッチもおきる。定年を迎えた人なら働き盛りよりも給与を低く抑えられ、人材不足の緩和に役立つ」という。
 賃金などの条件が折り合えば、現地面接に進む。紹介料は求人企業が払い、求職者は一般的に無料だが、面接のための渡航費などは自己負担が多い。 


 定年を迎えてもバリバリ現役の団塊の世代。就職を希望する側としては、ある程度の水準の待遇でまだ働くことができる。一方の企業側は、豊かな経験や技術を持った団塊の世代を割安に雇用できるということで、双方にメリットがあるようです。
 必要とされる技能や経験を海外で活かせるのであれば、本人にとっても幸せなことでしょう。ボランティアではなく現役として働く、その場がアジアにあるのであれば思い切って飛び出すのもいいかもしれません。仕事を続けながらも、これまでの日本のしがらみから解放されて、人生の楽しさを得られるのかもしれないのですから。

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April 12, 2007

№641 公民館デビュー

      大阪造幣局の桜
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 07年4月1日の朝日新聞の記事「団塊よ公民館へ行こう」からです。福岡の西部ガスから九州大学に出向している加留部特任准教授が紹介されています。

 何をすれば、生きがいのある充実した第二の人生を送ることができるか。「団塊の世代」が大量退職する07年を迎え、リタイア後の生活に不安を抱く人は多い。そんな悩める退職者に「公民館デビュー」を勧めている。定年後、組織を離れて暮らす時間は約20年間。この長い期間を生き生きと過ごすために訴えるのが「地域とのつながりを持つことの大切さ」だ。

 「公民館デビュー」とは、母親が我が子と近くの公園に行く「公園デビュー」の退職者版。団塊の世代の多くは、20歳前後からのほとんどの時間を、会社や団体などの組織に属してきた。定年後の「生きがい探し」の第一歩として、地域交流の場である公民館に足を踏み入れてみよう、という試みだ。
 「一人でできる趣味もいいが、仲間がいれば会話も弾み、酒を酌み交わすことだってできる。会社とは違う世界が広がっている」

 定年後の生きがいづくりとして、NPOやボランティア活動が受け皿にならないかとも考える。「やりたいことをやる。やりたくないことはやらないのがボランティア。まずは地域に目を向けてみることが、社会とのつながりを始める第一歩。まずはゴミを出すことからでもよいので、地域に出ることから始めてみてほしい」

 №636,637「ロングステイは肩書き外しのトレーニング」でも書きましたが、「会社人間」だった男性が、定年後どうやって「地域人間」に変われるかは大きな課題です。そのきっかけやどのように定年後の生き方を見つけてよいのか分からないという方も少なくないでしょう。
 その第一歩として「公民館デビュー」というのもいいかもしれませんね。公民館というと地域の自治会・町内会の集会や会合に利用されるだけでなく、趣味や運動などの各種教室の場にもなっていることが多いはずです。まずは自分が関心の持てる教室に参加して、地域の仲間や顔馴染みを作ることから始めてみるのもいいでしょう。
 ただし現役時代の肩書きは置いといて、一人の個人として地域の方と接することを忘れてはいけません。

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January 28, 2007

№594 団塊、帰郷足踏み

  バンコクのクロントイ市場にて
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 07年1月8日の朝日新聞に「団塊、帰郷足踏み」という記事が載りました。

 団塊の世代の大量退職が今年、始まる。地域経済が停滞する地方は、潤沢な金融資産を持つ団塊の世代を呼び込んで再生の起爆剤にしたいともくろむ。同世代の約半数は3大都市圏に住んでいるが、シンクタンクの推測では、引退に向けて生活拠点を移すのは、わずか1%程度、というものです。

 団塊の世代は、進学や就職を機に地方から大都市に出てきた人が多く、定年後、帰郷も考えなくはない。衰退著しい地方の自治体は、団塊の世代の帰郷に期待を寄せる。「団塊1人が移住すれば、住宅購入や観光などの支出にと、1億円の経済効果はある」との話も。
 しかし、自治体の思惑通りにいきそうにない。国立社会保障・人口問題研究所の「都道府県の将来推計人口」に基づき、大和総研が団塊の世代を含む55~59歳層の2015年までの分布の変化を調べた結果、増加する都道府県全体で上昇率は0.9%。県境を越えるのは計9万人にとどまるといいます。

 例えば東北の団塊の世代の場合、10代後半から20代前半にかけて主に東京圏へと移り、その後ほとんど戻っていない。その背景について、慶応大学の大江教授は「妻が地域社会でネットワークを築いているのに加え、首都圏に住む子どもの子育てを手伝うようになり、夫が戻ろうと言っても賛成しない」と指摘する。 

 その一方で、団塊の世代には移住希望が多いとのデータもある。国土交通省が団塊の世代の今後の居住動向について調べたところ、東京圏では移住希望者が40%いた。しかし、大江教授は「実際に移動した、あるいは必ず実現できるという人は、3.1%。60歳を過ぎても働きたいと考える人が多く、仕事を探す上でも移住に踏み切る人はわずかだろう」とみる。


 団塊の世代の定年後の居住地や生き方については、いろいろな調査やデータがありますが、これまでの世代以上に、団塊の世代が国内移住をはじめ、海外ロングステイや海外移住を実行に移すのでは、という予想が多い中、今回の調査は、意外な感じがします。県外への移動が、9万人というのは少ないのではという印象を受けますね。
 しかし、奥さんの意向が大きいという点は頷けるものがあります。海外ロングステイの調査でも、奥さんが反対した場合、実行に移されないケースがよくあるからです。ご主人がロングステイを計画しても、奥さんが趣味の仲間や友人、ボランティア活動など、地域でのネットワークから離れるのを嫌うからです。ましてや海外での生活に関心がなかったり、現地での滞在目的がなかったりすると、なおさらです。
 
 さて、団塊の世代が定年を機に、田舎暮らしを始めるのか、そのまま大都市に住み続けるのか、注目していきたいと思います。
 

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January 19, 2007

№589 団塊の世代 異国で「自分」探し

  チェンマイのサンデーマーケット
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 朝日新聞の正月版の特集「個性輝く団塊」に、 「海外移住」の事例が載っていました。

 フィリピン南部のミンダナオ島。Tさん(56)と奥さん(61)が島の中心都市ダバオに移り住んだのが05年1月。
海外移住を考えたのは、「年金だけでは日本で暮らせない」という不安、そして「子どもたちに面倒を掛けるわけにはいかない」という思いだった。
 海外旅行好きな奥さんが提案した。奥さんが年金受給者となる60歳をめどに、Tさんは早期退職。大手企業関連会社の経理担当で遅くまで働き、不規則な生活とストレスで体重が増えた。年金で暮らせるのなら仕事を辞めるのは惜しいと思わなかった。
 天井が高く、大きな窓の一軒屋は家賃5万円弱。それ以外の生活費は、2人で10万円ほど。その予算内で週に2,3回はゴルフを楽しむ。規則正しい生活と心の余裕。当たり前のことを取り戻しただけで夫婦は変わった。
 いずれ介護が必要になったら、フィリピン人の介護士を雇う。日本より安心だ、と夫婦の意見は一致した。
 2人は、ここで居心地のいい自分を探し当てた。

 Tさんは、「自分らしい生き方ができるか」が、海外移住のポイントのひとつだとアドバイスしています。「自分らしい生き方」や「自分探し」のきっかけやヒントを見つけるための手段として、海外のロングステイは有効だと、わたしもそう思いますし、これまでこのブログにも書いてきました。やはりロングステイのこの効用や機能を実感している方がいらっしゃるということは、心強いかぎりです。
 ロングステイを通して、自分を見つめ直し、自分探しをしてみる。その結果、「自分らしい生き方」を見つけたり、取り戻すことができるならば素敵なことです。そこから“本当”の第2の人生が始まると言っていいでしょう。

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January 18, 2007

№588 団塊の世代 次の生き方は?

 イサーン地方 ピマーイ遺跡の彫刻
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 朝日新聞の正月版の特集「個性輝く団塊」から、団塊の世代・約4万人(5141人回答)を対象に実施したアンケートの調査結果を紹介したいと思います。
 
 男女共学で平等を意識し、「全共闘」で政治に目覚め、「企業戦士」として高度成長を支えてきた団塊の世代は、第2の人生を前にどこに向かうのか? についてのアンケートです。

 最も興味深い項目は、「第2の人生で一番やりたいことは?」という質問に対する回答です。
第1位は「趣味に生きる」(30.8%)、第2位に「これまで通りに近い仕事を続ける」(18.3%)と、上位を占めています。
 これに「長旅に出る」(11.0%)、「社会貢献(NGO活動など)」(8.6%)、「海外移住または海外ロングステイ」(7.1%)、「田舎に引っ越す」(5.5%)と続きます。「長旅」「海外移住・海外ロングステイ」「田舎暮らし」が、予想以上に上位にランキングされていて、これらを合計すると、23.6%と約1/4近くにもなります。他の世代との比較はありませんが、団塊の世代の「旅行や移住など」への志向が強いことがよく分かります。

 一方、「最も腹を立てていることは?」との問には、 『年金問題』が多くあげられています。 
 「年金保険料を掛けさせるだけ掛けさせ、受給人口が増えるからと受給額を引き下げる」「団塊の世代は社会を牽引してきたのに、超高齢社会をもたらすお荷物のように見なされ我慢ならない」など、年金に対する不満や不安の声が一番多いといいます。
 定年後の生活費を考えた場合、年金だけでは暮らしていけないという『年金不安』が、「田舎暮らしやロングステイ」志向の背景にあるようです。現在のロングステイ志向も、将来の年金不安がその動機や理由のひとつになっているといわれていますが、団塊の世代を契機にして、その傾向はますます顕著になっていくと思われます。

 さて、あなたの次の生き方とは、「趣味に生きる」「就職でまだまだ仕事」「起業でまだまだ仕事」「地域コミュニティなどで社会貢献」「田舎暮らしやロングステイ」のどれを選択しますか?

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January 16, 2007

№587 団塊の世代 地域デビュー

      「えんがわくらぶ」
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 朝日新聞の正月版の特集「個性輝く団塊」から、参考になる事例をいくつか紹介したいと思います。
 
 東京都江東区のTさん(63)は、区の審議会のほかにサークル活動やボランティアなど、60歳で会社を退職してから始めた活動に、会社時代とは違う充足感を感じている。
 会社時代は、朝早く出て深夜に帰宅する「仕事人間」。だが59歳の時、重度の糖尿病を発症した。入院はしないで出勤したものの、定年延長せずに背広を脱ぐ選択をした。最初は治療に専念し、仕事のストレスからも解放されたからか、体調はみるみる回復した。

 気持ちに余裕が出てきた時、 「シニアライフアドバイザー」のことを思い出した。中高年の人生相談などを受ける民間資格で、98年に講座を受けていた。「関東シニアライフアドバイザー協会」に入会し、03年に仲間と企画したのが「定年後の居場所」がテーマの講演会だった。
 居場所・・・・・。自分の周りにも、退職後、家にこもりがちな人は多い。「仕事一筋」で地域に知り合いがいないと、「地域デビュー」も難しい。自分の居場所探しの思いもあり、今度は区の男女共同参画と介護の審議会の委員に公募、「元気シニアの社会参加」の提言書も出した。

 踏み出したステップは次へとつながり出す。娘と同じ30代もいるが、対等な関係だ。「地域で会社時代の肩書きは通用しない」と思う。「わたしの場合、病気をしたから『会社人間』の自分をうまく断ち切って、切り替えられたと思う」。さらに「考えるより一歩を踏み出そう」とアドバイスしています。

 実はわたしもシニアライフアドバイザーです。同じ仲間が主宰するシニアの地域活動グループ「えんがわくらぶ」に加えていただき、微力ながらお手伝いをしています。「えんがわくらぶ」は地域のシニアが集まり、パソコン教室から小学生との昔遊びや給食交流、そして三世代間の交流まで、多様な活動が行なわれています。まさにシニアの地域社会における「居場所」を提供しているといってもいいでしょう。
 中には、定年退職後、自宅に引きこもりがちだった男性が、「会社人間」から「地域人間」へ、つまり“地域デビュー”を果たした会員さんもいらっしゃいます。それには肩書き抜きの一人の人間として、地域の方と付き合えるかが鍵になります。

 また、Tさんのアドバイスにもあるように「最初の一歩を踏み出す」ことが重要だと、タイでロングステイをしている方々から教えられます。一歩を踏み出すとは、ちょっと「やってみる、行動してみる」ということです。自分でやってみると疑問が湧いたり、直接の経験につながります。そしたら自然に二歩目、三歩目が踏み出せて、次のステップへ進むことができるのです。これを続けていけば、気づいた時には、あなたも「地域デビュー」を飾っているはずです。

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January 11, 2007

№584 07年 団塊の世代 定年を迎える その2

      天草灘の夕景
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その2
 全国各地の「団塊世代の争奪戦」はとっくに火ぶたが切られている。島根、北海道、秋田などなど。背景には農山村部の深刻な過疎化と高齢化がある。全国の就農者の半分以上が65歳以上で、主力は70代だ。

 都会で生活していた人が移り住んでくれることは、地方の人にとって大きな刺激にもなる。移住者が持つ都会の消費情報が、農産物の産地間競争を生き抜くヒントになるからだ。それが地方の再生・活性化につながってくる。
 幸い団塊の世代の田舎志向は非常に強い。都市住民対象のアンケートでは、4割の人が「定年後はふるさと暮らしをしたい」と答えた。
 しかし、都会育ちのサラリーマンが「晴耕雨読」の夢だけでゼロから農業を始めるのは非常に難しい。甘い気持ちを捨て、一流のプロ農家を目指す覚悟で準備し勉強することが必要だ。

 戦後の高度成長を担ってきた団塊の世代は今、田舎に移り住み、新たに地方の農業と日本の「食」の再生の担い手となることを期待されている。団塊の世代にはリタイアはないのかもしれない。

 現在、耕作が放棄されている農地は38万ヘクタール。中国・四国の全耕作地に匹敵するといいます。それほど農山村部では過疎化が進み、農業の担い手がいないのです。ましてや人口減少時代に入った日本社会です。そのため、地方それも農山村部の過疎化は、一層拍車がかかりそうです。日本を象徴する美しい里山の景色や自然も少なくなっていくのでしょうか。
 そこで脚光を浴びているのが、団塊の世代という訳です。人口減に悩む農村に中高年を移住させ、農業の復興と地方の再生を図ろうとする「団塊世代『100万人農村移住』大作戦」という国民運動もあるそうです。
 団塊の世代が、農業に限らず地域社会の主要なメンバーとして、地方を活性化させる一翼を担っていくことができるのなら、これから迎える超高齢化社会は、豊かで成熟した社会になると思うのですが。

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January 10, 2007

№583 07年 団塊の世代 定年を迎える

   原城址から雲仙岳を望む
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 今年2007年、いよいよ団塊の世代が定年退職を迎え始めます。新聞やテレビなども「団塊の世代」の特集を組むことが、一層多くなってきました。
 05年から人口減少時代に突入した日本社会です。団塊の世代がリタイアし始めると現役世代が減少すると同時に、近年の少子化と相俟って本格的な超高齢化社会へとシフトしていくことになります。集団である同世代の動向が、これまでもそうであったようにこれからも大きな影響力を持っているのです。その意味で、団塊の世代が定年後どのような生き方をしていくかについて、引き続き注目していきたいと思います。

 さて、朝日新聞が発行する「NEXT‐AGE」(06VOL.5)に「めざせ 定年ファーマー!『団塊さん、いらっしゃい』争奪戦」という記事が特集されました。

 「快汗農業!」「北の大地で自分探しを」「空と土の間で生きるという選択」― こんな誘いのキャッチフレーズで、07年からリタイアが始まる700万人の団塊の世代を狙っている。人口減にあえぐ全国の市町村が、人材として丸ごと求めているのだ。
 
 農水省は07年から、その名も「人生二毛作」事業を始める。定年退職した団塊の世代に第2の人生として農業を勧め、過疎が進む農山村に移住させようという計画だ。
 具体的には、次の3段階の作戦を取る。
① まず農業に関心を持ってもらうため、田舎暮らし体験ツアーや、通いながら野菜作りをする市民農園への参加を勧める。
② 住宅付きで、週末だけ農村に泊まる滞在型市民農園へステップアップ。
③ 独立して営農するか、農業法人で働くかの道を選択、農業者として農山村に住み着いてもらう。
 
 市民農園や空き家・遊休農地の情報提供をしたり、住む家や耕す農地を市町村が貸したり、農機具の購入費を助成したり、農業技術を学ぶ帰農塾や就農準備校を各地に作ったり・・・・・と至れり尽くせりの政策を用意している。

つづく

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December 20, 2006

№569 団塊の世代の地方移住

  スパンブリーのリゾートホテル
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 06年12月9日の朝日新聞「団塊さん いらっしゃ~い」という記事からです。
 来年から退職期を迎える「団塊の世代」を念頭に、人口減に悩む自治体の間で地方移住を呼びかける競争が激しくなっている。とりわけ、誘致策の鍵として「ちょっと暮らし」「田舎暮らし体験」などの“移住お試し体験”事業が大はやりといいます。移住という高いハードルを越えるための助走として、まずは一度「いらっしゃい」という戦術だ。

 ちなみに今後5年間の全国の地方移住の経済効果は、「完全移住」が4万5千世帯で0.4兆円弱。これとは別に、都市部の不動産を維持したままの「2地域居住」が45万世帯で、約1.1兆円。合計で1.5兆円もの経済効果が期待できるという試算があるそうです。

 そのため全国の自治体が競って団塊の世代の誘致合戦を繰り広げているという訳です。その中でリードしているのが北海道。道内の市町村と協力して“お試し移住”に積極的に取り組んでいます。
 今年11月には、東京、大阪で開催された「北海道暮らしフェア」には約2500人が訪れ、地方移住への関心の高さをを示しています。

 他方、愛媛県は「まずは足を運んで現地を知ってもらうのは交流事業で、移住はその拡大」という考え。そして、今年始めたのが「移住体験モニターツアー」。3泊4日で、古民家や段々畑の見学、みかん狩りやうどん打ち体験のほか、2夜は地元住民との懇親会が組まれています。
 募集パンフには「移住相談窓口一覧」があり、南伊予地域の9市町の連絡先、担当者が載っていて、自治体の意気込みが窺えます。

 これ以外の県や市町村でも、独自のお試しプログラムを組んで、移住体験事業が盛況です。多くの地方の自治体は人口減に悩んでいて、定年を迎え始める団塊の世代の移住事業が、その解決策として脚光を浴びているのです。団塊の世代の“田舎暮らし”志向と相俟って、地方移住がちょっとしたブームになるかもしれません。
 海外のロングステイでもそうですが、ミスマッチを予防するためにも、“移住お試し体験”は大切なことだと思います。そのためには誘致する自治体は、魅力ある地域づくりをすることがポイントになりますし、移住する団塊の世代も、その地域を活性化するような生活や生き方をしてもらいたいものです。

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December 08, 2006

№561 九州で長期滞在型観光の実験

   島原の武家屋敷の街並み
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 06年12月3日の西日本新聞の記事からです。団塊の世代の大量退職に伴い、1週間以上の長期滞在型観光の市場拡大をにらんで、国土交通省がその実証試験を九州で実施した。
 別府、阿蘇、佐世保・波佐見、五島、雲仙の5地域で、温泉めぐりや史跡めぐり、農漁業体験など、その地域の特色を生かしたテーマ型体験メニューを用意し、参加したモニターのアンケートなどによって、九州の長期滞在型観光の可能性を探った。

 参加者は60代を中心とした中高年の47名。そのアンケートによると「8割以上が満足」と回答し、概ね好評を得ている。 しかし課題もあるようです。まず、参加者が少ない地域もあり、他地域に真似のできない魅力的なプログラムを提供しないと集客できないこと。次に、交通手段や受け入れ態勢が十分整備されていないこと、などです。
 さらに長期滞在型観光は、国内では北海道が先行していて、マレーシアなど海外のリゾート地も人気なことから、集客には情報発信やPRにさらなる工夫が必要だと言っています。

 当初、首都圏からの参加者をターゲットにしていましたが、実際はその半数が福岡を中心とした九州内からだったといいます。これから「自宅から3時間以内の近距離圏で、二地域居住を求め“第二の故郷”を探す人が多いようだ」と分析しています。 

 今回の実験とアンケートから「自宅から近い場所へのニーズが意外に高いこと」が分かりました。このことは、遠くの海外などでなくても、魅力的な滞在プログラムが充実していれば近くでも集客できること、普段は都会暮らしをして、 “週末には気軽に行ける田舎暮らし”というような潜在的なニーズがかなりあること、などを示唆しています。
 
 そして“田舎暮らし志向”の高まりと相俟って、 「現役時代は週末だけでも、リタイアしたらそのまま田舎暮らしへと移行する人たち」も増えてくることでしょう。その意味で、長期滞在型観光の体験をきっかけに、田舎暮らしを志向した国内移住へと発展していく可能性もあります。 あるいは、国内版ロングステイのひとつのスタイルになるかもしれません。
 それには、新聞でも指摘しているように、地域住民のホスピタリティなど受け入れ側の“地域の魅力づくり”が大きな課題になるでしょう。

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December 05, 2006

№559 どこに住むか選ばれる自治体 その2

   バーン・クワイ・リゾートにて
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その2
 財政が破綻した夕張市の事例でも分かるように、大幅な住民への課税負担増や行政サービスの低下を招いていて、多くの住民が逃げ出すように他の市町村へ転居しています。
 また、介護保険制度についてみると、他の公的社会保険と異なり自分たちの住む市区町村が、保険者となって介護保険制度を運営しています。したがって市区町村の運営状況によって、我々の支払う保険料が異なります。
一般的に高齢者率が高く、要介護の高齢者が多い自治体ほど、介護費用が嵩むために保険料も高くなりがちです。

 “地方の時代”と言われて久しいのですが、小泉政権の三位一体の改革によって、少なくとも制度や運用面についての地方分権が確実に進むことは間違いありません。これは「地方でできることは地方でやる」という方針に基づいていますが、言い換えると「地方自治体は自己責任で地方自治を行わないといけない」ということです。
 これまで国の言うことに従っていれば良かった時代から、地域のニーズに即した住民本位の行政サービスを提供して行かなければ、夕張市のように住民からソッポを向かれる時代になっているといえるでしょう。このような地方分権の時代は、同時に各自治体間の格差の拡大を招く結果も産み出すことになるのです。

 さらに、今後の超少子高齢社会においては、住民たちは自分の住む自治体の福祉サービスの充実度や税などの負担割合に対して敏感になることが予想されます。そこへ団塊の世代をはじめとするシニアがリタイアしてくると、どこに住むかの判断基準は、「税や受益者負担の軽いことや手厚い福祉サービスが受けられること」などが、大きなウエイトを占めるようになると思われます。

 この記事にいう「田舎暮らし志向」と相俟って、 「住民の負担が軽くて福祉サービスの充実した自治体」が選択される時代になりつつある、といっても過言ではないでしょう。つまり、地方分権の観点からも“自治体は住民から選ばれる時代”へと変化しつつあるのです。

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December 04, 2006

№558 どこに住むか選ばれる自治体

 スパンブリーのリゾートホテルにて
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 06年11月26日、朝日新聞の記事からです。 「これからどこに住むか、自治体を選ぶ時代」というのです。記事では、人口減が著しい地方の市町村では、大都市圏からの移住者を誘致する動きが盛んで、07年から定年を迎える団塊の世代をターゲットにしたケースが多いといいます。各地の自治体は移住者への支援策を掲げていますが、人気が高いのはやはり“気候や住環境のよい自治体”のようです。

 なぜ市町村が移住者の誘致を競うかというと、人口減や少子高齢化、若者の流出による地域の活力の低下が、その理由だというのです。そのため、中高年層を呼び込むことで経済効果を上げることが狙いなのです。
 その意味では、団塊の世代にとっては、定年後都会に住み続けるか、田舎に住むか、自治体を選びやすい時代になったとも言っています。内閣府の調査でも、都市に住む50歳代の28.5%が「田舎に移住したい」と回答していますので、 「自然が豊かで、生活費も安い」田舎暮らしへのニーズは、かなりありそうだと、記事は書いています。
 なお、国土交通省の委託調査では、2つの地域に住む人は約100万人(05年)で、2030年には約1080万人と推計しています。

さらに「田舎暮らしはしたいが、移住までは」という人には、都会に家を残したまま、地方にセカンドハウスを持って週末に往復するか、民宿などを利用して長期滞在する「2地域居住」という方法もあると紹介しています。
 このフレーズはロングステイと同じですし、 「自然が豊かで、生活費も安い」という理由もタイをはじめとするアジアの国々と共通だと思い当たります。まさに国内版のロングステイですね。確かに国内の移動は海外へ行くことに比べるとはるかにハードルが低く、リスクも少ないので、調査の推計のように「田舎に移住する」シニアが急増するかもしれません。

つづく 

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August 28, 2006

№486 団塊の世代はリタイアできるのか

  スパンブリーの朝の田園風景
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 来年から順次、「団塊の世代」が定年退職を迎えます。いわゆる「2007年問題」です。
大量退職に伴って労働者人口の減少や永年培われてきた“ものづくり”の技術の継承問題、さらには年金保険をはじめとする社会保障制度など、日本の社会システムや制度が大きな転換期にさしかかっています。

 さて今回の話題は、 「団塊の世代が、定年後ハッピーリタイアメントを迎えることができるのか」ということについてです。先日、わたしの元の職場の後輩から、メールがありました。彼は専門学校の学生の就職活動を支援するセクションで、地元企業の求人開拓を担当しています。

 メールの要旨は「団塊の世代はすんなり退職できない」というのです。景気の回復に伴い各企業は、採用意欲が活発になっているといわれています。その背景には「2007年問題」を前に、次世代を担う若い社員を入れておかねばという思惑があるようです。
 そのため、昨年から高校生の就職率が好転していて、今年も各企業は特に工業系の高卒を採用しようとしています。 しかし、大手企業の大量採用で地場の中小企業まで人材が回ってこないのではと、人事担当者は心配しているとこのこと。
 また、学卒の就職環境もバブル経済時代のように、企業が内定者を囲い込むような状況になってきているそうです。

 「団塊の世代」が退職し、若い世代を確保できた企業が生き残るのではないかと、後輩は言います。でも、大企業でない限りすんなりと世代交代ができないかもしれないとも言います。それは良い人材は大企業に採られ、中小企業では若手の採用は難しいと予想されるからです。仮に採用できても使い物にならない若者ばかり。
 そうなると中小企業は、定年退職者の再雇用しか方法がないのではと言うのです。
 
 ポスト「団塊の世代」ということで言えば、特に中小企業では人手不足が大きな問題になると予想されます。豊かな経験や優秀な技術を有する健康な方であれば、定年後も企業は引き留めることでしょう。中小企業であればなおさらです。
 60歳の定年でハッピーリタイアメントして、海外でのロングステイを楽しめる人は、大企業に勤めていたような一部の方になってしまうのでしょうか?

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July 20, 2006

№449 少子化対策と団塊の世代

     カレン族の子どもたち
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 日本の出生率が、5年連続で過去最低を更新し2005年は1.25となったことが、先月発表されました。 また05年の国勢調査速報でも、日本の人口に占める65歳以上の高齢者の割合は21.0%と世界最高になる一方、15歳未満は13.6%で世界最低になり、高齢化・少子化ともに世界で最も進行した国になったことが報告されました。

 7月3日の「地域の子育てに団塊世代」という朝日新聞の記事からです。
 少子化対策の柱の一つとして、政府が力を入れているのが「地域の子育て力」の向上だ。専業主婦の「密室育児」を防いだり、世代間交流を進めたりして子育てしやすい地域環境をつくろうという試み。いま注目を集めているのが、団塊の世代。大量の定年退職者が出る07年以降をにらんで、この世代を対象にした子育て支援講座も計画されている。
 政府の「新しい少子化対策」では、地域の子育て支援の重要施策として「地域の退職者、高齢者等の人材活用による世代間交流の推進」を盛り込んでいる。また別の報告書でも「団塊の世代が人生や職業生活で培ってきた能力を地域の子育て支援に発揮できるようなシステムが必要」としている。

 04年にNALC(ニッポン・アクティブ・クラブ)が50~79歳の意識調査を実施したところ、将来参加したい社会活動は、団塊の世代を中心にした定年前世代の3割近くが「ボランティア活動」を挙げた。
 代表の高畑敬一さんは「子育てに喜びを感じてもらい、出生率をあげるには地域の力が必要。ボランティア意識の高い団塊世代をNALCに迎え、子育て支援の力を高めていきたい」と話す。

 少子高齢化といわれて久しいですが、予想を上回るスピードで進行しています。これまで介護を中心とした高齢化に伴う諸問題が注目されてきましたが、最近では少子化の方が日本社会に深刻な影響を与えるのではないかと思っています。将来の社会の担い手である子どもが減少し続けると、働き手が少なくなるばかりではなく、社会保障制度を初めとする日本の社会システムが根底から揺るぎかねないからです。
 高齢者の比率は増加することはあっても高齢者の数自体が増える訳ではありませんが、出生率の低下は生まれてくる子どもの数の減少に歯止めがかからない状況を示しています。このような状況に対して、財政再建のさなか政府は有効な対策を打ち出せないままです。
 この記事でいう地域の子育て支援の一翼を団塊の世代が、担うことを願うばかりです。

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