March 28, 2008

№840 呼び込め 外国人患者

   バムルンラード病院の威容
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 これまでも何度か紹介したタイの医療事情ですが、08年3月11日の朝日新聞に、外国人患者を積極的に受け入れるメディカルツーリズムの記事が載っていました。

 タイに18、カンボジアに2病院を持つ民間病院グループ「BGH」、基幹のバンコク病院にヘリポートを設置し、昨年11月、患者をヘリで運搬する東南アジア初のサービスを始めた。
 バンコク病院には日本人やアラブ人向けの専用カウンター、イスラム教徒用に祈りの部屋がある。スターバックスに日本やイタリヤ料理店、コンビニが並び、15カ国の通訳がそろう。
 タイは至れり尽くせりのサービスと価格競争力で売り込みを図る。

 民間病院の外国人患者受け入れを推進したのはタクシン政権だった。03年11月に「アジアの健康首都」を宣言。スパやマッサージ、ハーブ産業の振興と外国人患者誘致を合わせた医療ハブ構想を進める。01年に55万人だった外国人患者は、05年には125万人に急増した。

 もちろん順風ばかりだったわけではない。
 06年9月のクーデターでタクシン氏を追い落としたスラユット政権は、元首相が力を入れた政策に冷淡だった。年間1千万~2千万バーツだった医療ハブ構想の予算はスラユット政権下で300万バーツ(07年)に減額され、医療ハブをテーマとした商談や展示会は中止となった。
 それでもBGHの業績は好調だ。チャトリー最高経営責任者によると、01年以降、外国人患者は年平均6割増で昨年は65万人。全患者に占める割合は01年の12%から昨年は30%に。今年は40%と見積もる。

 先進国に劣らぬ医療水準、シンガポールの7割、米国の数分の1という治療費の安さ、タイ人医師や看護師のホスピタリティー。
 軌道に乗った今、チャトリー氏は「政府に宣伝パンフレットを作ってくれとはもう言わない」と余裕をみせる(記事抜粋)。

 記事で紹介されているバンコク病院は行ったことはありませんが、同じバンコクの総合病院バムルンラード病院を訪問したことがあります。高速道路から見える同病院は、巨艦のような威容を誇っています。規模の大きさだけでなく、病院のロビーは5つ星ホテルのそれと見間違えるほどです。そして黒い民族衣装をまとったアラブ人女性をはじめ、外国人患者やその家族の多さに驚かされます。まさにこの記事の通りの光景です。
 タイの一般の病院に比べると高額な治療費だという声も聞きますが、医療技術の高さや言葉の問題がないのは、外国人旅行者やロングステイヤーにとって安心ではあります。

 ちなみにわたしが利用するバンコクエアウェイズ(PG)は、このバンコク病院グループのオーナーが設立したエアラインです。病院と航空会社の経営とは、日本ではなかなか結びつきませんが、これもタイならではということでしょうか。

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September 13, 2006

№502 フィリピンの介護士受け入れ

  バンコクのタイ式マッサージ店
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 06年9月10日の西日本新聞からです。
 「小泉首相は、9日フィンランドのヘルシンキでフィリピンのアロヨ大統領と会談、看護師、介護福祉士の受け入れを含む同国との経済連携協定(EPA)に署名、締結した。日本の労働市場の一部開放を盛り込むのは初めて。
 来春にも発効、フィリピン人看護師や介護福祉士の受け入れが始まる」。

 以前フィリピンとの間に結んだ自由貿易協定(FTA)の中で、看護師・介護福祉士の受け入れを基本的に承認していましたが、いよいよ具体的に進み出したということです。
 さらに記事では「協定によると、フィリピンの看護師資格保有者や4年生大学卒業者など一定の資格者を選抜。
日本に受け入れ、語学研修受講などを条件に就労を認め、日本の看護師、介護福祉士の国家資格に合格した人について在留期間を延長する。受け入れ枠については今後協議する」となっています。
 まず、日本語研修などの滞在期間を看護では3年、介護では4年認め、その間に日本の国家資格を取得する。そして合格者は新たな在留資格、つまり3年間(更新も可能)の就労を認めるというものです。事実上、長期間の就労を認めたものと言えるでしょう。

 11日、この協定を受けて厚生労働省は、看護師は400人、介護福祉士は600人という具体的な受け入れ枠を表明しました。さらにフィリピンだけでなく、タイをはじめアジア各国についても外国人労働者を受け入れる用意があると述べています。
 いよいよ本格的に日本の労働市場の門戸が開かれ、専門職を中心とした外国人労働者の受け入れが正式にスタートしたのです。これまで外国人労働者の受け入れについては、鎖国的な政策を取ってきた日本が、大きくその方針と転換したという意味では歴史的な出来事です。

 受け入れで日本人の仕事が奪われるとか、賃金が上がらないという慎重論もあったようですが、大きな一歩を踏み出したいえるでしょう。その背景には、急激に進行する少子高齢化があることは紛れもない事実です。介護や看護を必要とする高齢者は確実に増加するのに、それを支える若い世代が減少するからです。2025年には在宅福祉を支えるホームヘルパーの数が、パートで換算した場合12万人不足するという試算があります。その不足を補うものとして、フィリピンの介護福祉士を受け入れることにした側面があるのです。

 日泰間でもタイのマッサージ師の受け入れを基本的に合意しています。フィリピンの例のように介護福祉士などの分野にも拡大することが予想されます。
 両国間の人的交流の意味でも、労働力の受け入れを肯定的に捉えて行きたいと思うニュースでした。

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January 05, 2006

№258 タイで生命保険に入る

   アユタヤのワット・マハタート
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 「タイの保険会社に加入する」という記事が情報誌「DACO」のロングステイ特集に載っていました。
 「日本の国民健康保険(国保)に加入していないから」とか、「日本で国保の還付をするのも面倒だし、タイで保険に入ろうか」という方への解説記事です。

 タイで保険に加入できる最低条件として、労働許可証(ワークパーミット)またはOビザ(ロングステイ、リタイアメント、年金、家族、学生)が必要になります。
 そして、外国人(日本人も)は、加入する前に健康診断を受けなければなりません。日本の生保でも同じですが、特に糖尿病、高血圧をチェックされ、これに引っかかると、契約が難しくなります。 多くの場合、保険会社が病院の紹介や健康診断の経費を負担してくれます。

 医療保険の場合、A社を例にとると60歳6ヶ月まで加入でき、70歳まで保障されます。シニアが、定年後ロングステイヤーを始める場合、加入年齢が60歳までというのはちょっとつらいですね。
 あらかじめ検討して、60歳6ヶ月までに契約を結ぶ必要があります。そうでなければ、出発する前に日本国内で高齢になっても保障される保険に加入してしておいた方がいいでしょう。
 また傷害保険は、医療保険より年齢制限が引き上げられ、70歳まで加入することができ、保障期間は75歳までです。 これですと、タイでロングステイを始めてからでも加入できます。
 死亡保障は、年収の20倍まで掛けられるそうですが、これはタイで働いていないと加入できないのでしょうか。
この記事では特に触れていません。

 タイで保険に加入するメリットとして、次のようなことが挙げられています。
1.現地の状況に見合ったプランが立てられる。
2.現地契約なので、すばやい対応・処理が可能である。
3.予定利率が3~5%で計算されているため、積み立てタイプの保険が日本よりも高配当である。
4.タイで働いている場合、年間5万バーツの保険料まで所得税の控除対象になること。

 一方デメリットとしては、通院はキャッシュレスにならず入院のみであること、などがあります。

 タイの生命保険の場合、保険を使ったからといって、保険料が増額になることはありません。 保障額の範囲内ならば、保険金は満額支払われます。
 まったく保障されないのは、医療内容が保険適用外のケース、告知義務を怠っていた持病があるケース、過去にかかったことのある病気(既往症)が保険制限に引っかかるケースなどがあります。この点に関しては、日本の場合も同じでしょう。
 
 たとえば60歳6ヶ月の人が、A社の医療保険に加入した場合です。
90歳までの死亡保障10万バーツ(約30万円)、通院1回1000バーツ(約3000円)、入院1日2400バーツ(約7200円)、高額医療36疾病に200万バーツを保障する内容で、年間32095バーツ(約96000円)の保険料がかかります。 どうしても60歳を超えると、保険料が高くなってしまいます。

 定年後はロングステイと計画されている方は、生命保険の検討も早目にした方がよいと記事はアドバイスしています。 

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December 05, 2005

№230 タイの医療と国保

   総合病院のバムルンラード
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 海外でのロングステイ、一番気になるのが医療のことでしょう。 ここではタイの医療と日本の国民健康保険について、「DACO」のロングステイ特集から紹介しましょう。

日本の国民健康保険について
 日本では国民皆保険ということで、リタイアした方でも医療については国民健康保険(国保)に加入している訳です。ですから日本の病院で病気や怪我をして治療を受けると、医療保険の給付が受けられます。
 では、海外在住者はどうかというと、国保に加入していれば医療費の還付が受けられるのです。加入の第一条件は、日本に住民票があることです。住民票がない人は、実家などで住民票を復活させることが必要になります。 国保に加入していれば、海外の病院で支払った医療費の 一部 を「海外療養費」として還付してもらえるのです。

 日本国内で治療を受けた場合、3割の自己負担ですが、海外の場合でも基本的に同じです。日本で保険対象となる医療内容と同じ基準で適用になります。 しかし、治療内容によっては全額負担されない場合があります。
 その事例として、日本国内で保険が適用されていない医療行為については、海外でも同様に対象となりません。療養を目的にタイに来て、診察を受けた場合も支給されません。そして、日本と海外との医療費に差がある場合、その差額分については自己負担になります。
 日本での還付は、現地で治療を受けて医療費を支払った日の翌日から起算して2年以内となっています。 国保に申請するためには、診療内容明細書、領収明細書(英語記入)、および英文診断書が必要です。ただし申請窓口である社会保険庁は、日本語に訳した書類しか受け付けないようですから、これらの書類を翻訳する必要があります。

歯科の治療について
 歯の治療の場合も、会社に所属していない日本人が利用できる保険は、通常国保しかありません。 インプラント(人工歯)や歯科矯正(美容整形的要素が強い場合)には、保険が適用されません。入れ歯や差し歯については適用されます。 また、治療に使う素材によっても保険が利かないものがあるので、その都度確認した方がいいでしょう。

 住民票があるということは、住民税を支払わなければならないということです。住民票を抜いてタイに来て病院にかかっても、その時点では国保に加入していないので、後から加入しても遡っての給付はありません。
 たとえば、4月にタイで病院にかかり、6月に帰国して国保の加入手続きをしても、4月の医療費は海外療養費の対象にはなりません。6月からの医療費が対象になります。
 
 いずれにしても、海外で治療を受ける場合、一旦医療費を支払わないといけませんので、1年間まで契約可能な「海外旅行傷害保険」の契約をお勧めします。 国保の還付まで医療費の全額を立て替えるのは、かなりの経済的負担になるからです。

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October 01, 2005

№165 意外な健康保険の活用

   チェンマイへのタイ航空機
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 海外での病気やケガにも公的な健康保険が適応されることは、案外知られていません。
 健康保険は国内の医療機関にかかった場合にだけ利用するものではありません。治療費の全額ではありませんが、海外旅行中に病院にかかった場合にも支給されるのです。 ただし、請求しないと支給されません。
 7月23日の西日本新聞の記事をもとに、健康保険の主な給付金をまとめました。

○海外療養費
 海外旅行に出かける場合、一般的に民間損保会社の「海外旅行傷害保険」に加入することをお勧めします。病気やケガだけではなく、他の人への損害賠償責任や盗難にも対応しているからです。
 しかし、公的健康保険でも海外での病気やケガに掛かった医療費が支給されるのです。利用できるといっても、日本の保険証が海外の医療機関にそのまま通用する訳ではありません。海外で支払った医療費の内、日本の健康保険制度で認められている部分について、医療報酬基準で換算した上で自己負担を3割とし、7割を給付金として給付する仕組みです。
 支給には条件があります。海外での短期滞在(原則1年以内の短期渡航)者が対象で、旅行、出張など渡航目的は問いませんが、治療目的や長期滞在している場合は該当しません。あくまでも日本の健康保険制度で認められている治療行為が支給対象です。臓器移植や不妊治療、美容整形などは原則として適用されません。


○帰国したら申告しましょう!
 海外治療費の支給申請には、 「海外療養費支給申請書」と「海外診療内容明細書」「領収明細書」が必要です。
 明細書は現地の医師に記入してもらい、翻訳文を付けて、国民健康保険加入者であれば市町村へ、会社員などであれば社会保険事務所(政府管掌健康保険の場合)、または会社の健康保険組合に提出します。市町村や健保組合などには明細の記入見本があり、海外へ持参していくと安心です。
 海外療養費の支給は、治療費を支払った日の翌日から2年間を過ぎてしまうと、払い戻しされませんので注意してください。

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June 23, 2005

№67 介護とタイ・日本の関係

     水上マーケット
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  「介護の仕事 担うのはだれ」という記事が、朝日新聞に載った(2005.5.22)。日本の人口は2006年をピークに減少し始める。少子高齢化によって、年金や介護、医療の負担や給付に影響が出ることになる。それだけでなく、食事や入浴など要介護者への介護の担い手が減る可能性を示唆している。
 介護を担うことができる15歳以上の労働者人口は、2025年には6300万人で、現在から300万人も減るのである。職を探す人が有利な「売り手市場」になり、労働条件が悪い訪問介護のパートのなり手は思うように増えないと予想されるという。試算によると、2025年必要とされるホームヘルパーをパートで確保しようとすると、12万人のパートが不足することになる。

  “ではどうするのか”という方策がいくつか語られているが、そのひとつの選択肢として、 「外国人労働者の受け入れ」の議論が浮上してくる。
 現在、日本とタイの2カ国間において、FTA(自由貿易協定)の交渉が行われていて、米や農産物など、交渉が難航している部分もあるものの、合意への最終段階を迎えているようである。これまでに日本がFTA協定を結んでいる国は、シンガポール、メキシコ、フィリピンの3カ国で、つい先日はマレーシアとの合意が報じられていた。
 その内、フィリピンとの合意内容には、看護師や介護福祉士の日本への受け入れが含まれている。欧米のほか、台湾、シンガポール、香港などでも介護の分野の外国人労働者の受け入れが進んでいる。台湾では、13万人近くの外国人が介護の仕事に就いているという。
 タイとのFTA交渉でも、当然タイ人労働者の受け入れの問題が、交渉のテーブルの乗っているのである。「外国人労働者の受け入れ」には、日本人の仕事が奪われたりするのではないかという慎重論もあるが、フィリピンに次いで介護福祉士の受け入れが、早晩合意されることになるだろう。

  バムルンラート病院のリハビリ室
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 同じ仏教国で敬老の気持ちがあり、ホスピタリティーの高いタイ人の介護士が、食事や入浴など日本の高齢者の生活を支援する日もそう遠いことではないと思われる。20年後、タイ、フィリピンはじめアジアの国々から多くの介護士が、日本で活躍していることであろう。
 将来わたしの面倒を見てくれる介護士は、タイの人たちかもしれないと思うと、より親近感が湧いてくるのである。
 

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