August 25, 2008

№920 退職後「無理なく、楽しく」

    糸島・加布里漁港の夕日
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 08年8月20日の朝日新聞の福岡県版に載っていた記事からです。

 定年退職者ら4組の夫婦が日替わりで切り盛りをするカフェレストランが、福岡県志摩町にある。モットーは「無理なく、楽しく、かっこよく」。田舎暮らしを求めて団塊の世代の新住民たちが増える糸島地区で、セカンドライフを模索するユニークな試みとして注目されている。
 昨年10月にオープンした「カフェベイサイド」。7月、スペースを広げるため、近くで休業中のレストランへ移転し、客足を伸ばしている。
 メニューの目玉は、英国式の「アフタヌーン・ティー」。2段重ねのトレーに、アイガモや豚など地元素材を生かした燻製とパン、スコーン、ケーキが盛られる。サラダとデザート、コーヒーが付いて千円。

 各夫婦は50~70代。夫が銀行やメーカーなどを退職後、同地区に転入し、年金や自営業などで暮らしている。
地元の交流会で知り合い、 「第二の人生をどう有意義にするか」との話題から、それぞれの経験を生かす「大人のサロン」を目指すことで一致した。 運営方針は「無理をしないこと」。当初の出資額は道具代など、1組3万円。営業時間は午前11時~午後5時。各夫婦が週1、2回、料理から給仕までこなす「1日オーナー」制だ。
 売り上げは今のところ月20万円前後。材料費などを差し引いた利益を8人が時給で分配する。人件費を抑え、赤字を防ぐ仕組みだ。開店直後は時給200円だったが、現在は300円台に。目標は千円だ。
 メンバーの一人(62歳)は「やりがいが一番。実社会の経験を楽しみながら生かそうと張り切っています」と話す。

 福岡市のベッドタウンとして人口が増えている糸島地区は、65歳以上の割合も20年前に比べて1割アップ。シ
ニアの活動も盛んで、同店は短時間の仕事で地域貢献を目指すシニア世代の「コミュニティ・ビジネス」モデルとし
て県も注目している(以上)。

 
 久々にシニア世代の記事が目に留まりました。一時期、団塊の世代の定年退職に伴う“2007年問題”が、盛んに取り上げられていましたが、定年後も仕事を継続する人が多く、今のところ大量のリタイア組が出ていないのが、その理由。おそらく65歳からが、リタイアし始める区切りになりそうです。

 「第二の人生をどう有意義にするか」は、定年後の大きな課題ですが、「無理なく、楽しく」をキーワードにコミュニティ・ビジネスを始めた点は注目されます。とりわけユニークなのが、4組の夫婦がひとつの店の運営をシェアしていること。これだと長く続けられます。まさに「無理なく、楽しく」カフェを切り盛りできる訳です。
 そして週に1、2回働くことで、日常生活にメリハリが付けられますし、やりがいも感じられる。何もしないでもなく、無理して毎日働くのでもない、新しいライフスタイルです。

 「田舎暮らし志向、シニアの生きがい、地域貢献」の要素をうまくミックスした面白い取り組みと言えるでしょう。海にも山にも近く豊かな自然に恵まれた糸島地区で、“シニアの新しい生き方”を発信して欲しいものですね。

 HPは見つかりませんでしたが、NHK福岡が今年4月に紹介しています。
 http://www.nhk.or.jp/furusato/koremade/koremade_20080409.html

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June 02, 2008

№876 リタイア後の人生

 カンボジア、バンテアイ・スレイ遺跡
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 「『超』リタイア術」(野口悠紀雄著)からです。

(リタイア後は、実りを収穫する時)
 リタイア生活でもっとも重要なのは、「何をするか」である。「会社人間」といわれる人の多くが、退社したとたんに生き甲斐を失ってしまうという。それでは、折角実現した豊かな時間を無駄にしてしまう。何のために苦労してきたのかわからない。

(これまで出来なかったことをやる)
 年金も健康も、確かに重要だ。これらが退職後生活の基盤であることは間違いない。しかし「リタイア後人生」というのは、それだけのことだろうか? 年金と健康さえ確保できればよいのか? もっと重要なものがあるのではなかろうか?
 何が大事かは人によって違うだろうが、一般的な言葉でいえば「生活の張り」だろう。大げさにいえば「何のために生きるのか?」ということである。

 「リタイア」とは、「何も仕事をせずに年金だけでブラブラ過ごすこと」ではない。「生活のために自己を犠牲にする仕事からは解放されること」だ。したがって「リタイア後」とは、「すべての時間を自己実現のために使える期間」のことだ。
 「やりたいこと」は、人によってさまざまだろう。趣味の世界に生きたい人もいるだろうし、世界中を旅行したい人もいるだろう。地域社会に貢献したいという人もいるだろう。あるいは、外国語の勉強も楽しい。若いときの外国語の勉強は、試験や仕事のための「投資」であるが、年をとってからの勉強は、「消費」である。これまでは「投資」が必要なためにできなかったことを、何でもよいからやればよい。
 
(豊かな成熟社会を実現できるか?)
 年齢構成で見て日本社会が高齢化することは、避けられない。これは、日本社会に根本的な影響を与えるだろう。これまでの日本は、毎日のように新しい建物が建ち、日々めまぐるしく変化していく社会だった。街には若者が溢れ、企業もピラミッド型の年齢を維持できた。これからの日本は、それとは異質の社会になる。

 しかし、それは、日本が衰退してゆくことを意味するものでは必ずしもない。多くの人が充実して満ち足りた生活を送れる成熟社会になることを意味するのだ。単なる衰退に向かうか、それとも成熟した充実に向かうかは、リタイア年齢に達した人々がどのように生きるかで決まる(以上抜粋)。


 大半のページを現在の年金制度が、いかに問題が多いかを解説している同書ですが、リタイア後の生き方についても参考になる点が大いにあります。
 高齢化が急速に進むだけでなく、予想以上の少子化によって人口減少時代に突入した日本社会です。2055年には日本の総人口は9千万人を割り込み、65歳以上の高齢者率が40%を超えると推計されています。つまり2.5人に1人が高齢者という“超高齢時代”を迎えることが、現実味を帯びてきました。
 その時、活力が失われた社会になるのか、高齢者がいきいきと生きられる心豊かな社会になるのかは、著者が言うように「リタイア後、どのように生きるか」にかかっているのです。

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March 17, 2008

№833 祝受賞! 山川さん

      代表の山川さん
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 08年3月11日、久しぶりに「えんがわくらぶ」を訪問しました。この2月、代表の山川千寿さんが、福岡県から教育文化功労者を受賞され、そのお祝いを兼ねてのことです。

 「えんがわくらぶ」は、古賀東小学校の敷地内にあり、古賀市の「元気な高齢者づくり」プログラムの一環で、地域における高齢者の活動の場として運営されています。シニアが介護を必要としないで元気に生きられることを目的とし、高齢者の生きがいづくりの支援活動を行っています。さらに小学校内というロケーションを生かし、小学生との日常的な交流を通して、高齢者が地域の子どもたちを育てる幼老共生の取り組みも。
 「えんがわくらぶ」は、高齢者が仲間や子どもたちと交流できる“地域の居場所”であり、孤立や引きこもりにならずに、自分が住む地域との関係を取り結ぶ重要な拠点でもあるのです。

 3月25日は今年度の7期生17名の修了証書授与式、これまでに100名もの会員が修了して、地域活動のリーダーとして活躍しているそうです。
 この日も会員が集まっての活動日。午前中は、近所にある久保保育所の5歳児と「缶カンポックリ」づくりの交流でした。みなさん園児らの腕白ぶりにすっかり疲れて帰って来られましたが、表情はニコニコ、生き生き。
 午後からは、古賀東小3年生との「ありがとう会」の予定が入っていました。毎年、同校の3年生と給食やサツマイモ栽培などの交流を続けていて、この1年間の感謝の気持ちを込めて3年生に招待されているとのこと。
 地域の高齢者にとっても子どもたちにとっても、ますますなくてはならない存在になっているようです。

 なお表彰式の模様と山川さんの受賞の言葉が、以下に載っていますので参考まで。
 http://www.sla.or.jp/topics/yamakawa.html

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March 10, 2007

№620 定年後、どうしている?

フランスパンを山積みで シェムリアップ
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 07年2月18日、朝日新聞日曜版の「定年後、どうしてる?」という記事からです。

 「退職後の時間は自分のもの」。仏大手保険グループのアクサが、世界11の国と地域で退職者にアンケートした。日本はじめ豪州、中国、英国、フランス、ドイツ、米国などである。時間の過ごし方について、豪州や英国が「ガーデニング」「ハイキング」「旅行」と、3個は挙がるのに対し、日本人は平均1.7個だけ。世界最低だった。逆に、18%は「何もしていない」と答え、スペインの19%に次いで多かった。 
 一方、再就職を希望している人は、日本は50%で、2位のシンガポール(37%)を大きく引き離してトップ。退職年齢の引き上げに反対なのは、日本はわずか9%で最も少なく、ほぼ半数が反対する欧州諸国とは好対照だった。

 日本の高度成長を支えてきた人たちとあって、働くことに生きがいを感じていると思いきや、実はそれだけではないらしい。年金収入だけでは生活費が5万824円足りず、調査国中で最大の赤字国だ。自国の社会保障に危機意識を感じている人も最多だった。
 「退職後も働き続けることが日本人のライフプラン。でないとやっていけない」とアクサ生命保険。生涯現役なのも、懐の事情がそうさせているらしい。余暇を楽しむどころではない。

 同社のHPで「リタイアメントスコープ 06年」の調査レポートを見ると、「日本と対象国との国際比較」と「就労者と退職者の比較」が、分かりやすく解説されていますので、関心のある方は一度開いてください。その調査項目は非常に多岐にわたっています。
 記事にもあるように、現在の生活を維持するには年金だけでは足りないから働き続ける、という厳しい現実が報告されています。結論では、公的年金制度への強い危機感が就労者・退職者を問わず広がっていて、退職後の生活に対する自己責任意識が高まっていると結んでいます。急激に進展する少子高齢社会の下では、将来社会保障制度が維持できないのではという危機感の現れでしょう。

 そしてアンケート結果をみると、日本は1位「趣味」2位「ボランティア」と続き、3位が「何もしない」になっています。「何もしていない」人が多いのは、気になるところです。経済的に余裕があっても、特にすることがなく毎日を過ごしているのでしょうか。もしそうだとしたら趣味でもボランティアでも、何か自分の好きなこと、したいことを見つけて欲しいものです。
 「働き続けないといけない」人がいる一方で、「何もしない」人もいます。日本社会は経済的格差が拡大していると言われますが、その象徴でなければいいのですが。

アクサ リタイアメントスコープ 06年
 http://www.retirement-scope.axa.com/country/download/2007/retirement_scope_japan_jp.pdf

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September 04, 2006

№493 定年後の名刺の肩書き 

   スパンブリーのリゾートにて
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 定年後のあなたの名刺は、何という肩書きにしますか? 06年8月27日の西日本新聞に「定年後生活 第2の名刺何を書き込む」という記事が載りました。

 現役時代は、勤めている会社名や役職名が当り前のように刷り込まれていた名刺です。でも会社や組織を離れた時、自分を紹介するのに相応しい肩書きをどう表すかということです。
 仕事や会社中心の人生を送ってきた男性にとって、定年後をどのように過ごすかは大きな課題になってきます。 会社や組織を背負って生きてきた男性ほど、ひとりの個人として生きていくことに戸惑いがあるのではないでしょうか。それを端的に表すのが、定年後の名刺の肩書きという訳です。

 この記事に紹介されている賀来正明さん(63)は、奥さんの実家である福岡に定年後移住してきた。家事を始めたのをきっかけに、NPO法人関連講座を受講したり、日本語ボランティア教室を準備したり多忙な毎日だ。賀来さんの新しい名刺のサンプルには、今取り組んでいる事柄が並んでいる。
 「現役の時は、会社名と役職だけで自分という人間を理解してもらえたが、今は何をやっているか細かに説明しないと分かってもらえない」。

 よくあることですが、自分の住む地域でいろいろな活動に参加しても「わたしは、元○○会社の○○部長をやっていました」と自己紹介する例は、この記事だけのことではありません。 どうしても現役時代のクセが抜けないのと「わたしという個人」をきちんと見出せないのです。これでは地域社会には溶け込めません。
 リタイア後の第2の名刺に何を書き込むのか。定年後の新しいステージで生きるコツは、 「過去を捨て、自分の身一つになる」ことだといいます。 それにはこれまでの肩書きを捨てて、個人としての自分を見つめ直してみる必要があるようです。
 「会社人間から地域人間へ」とシフトさせていかないと、自分を紹介する適切な肩書きは見つからないのかもしれません。 そこで自分を見つめ直すきっかけのひとつとして、海外のロングステイはいかがでしょうか。


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February 03, 2006

№287 「診察室に来た赤ずきん」

  チェンマイのナイトバザールにて 
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 「診察室に来た赤ずきん」は、精神科医の大平 健氏が書いた“物語療法の世界”の本です。 本屋さんで、その面白い表紙のイラストに気を引かれて手にしました。
 この不思議の国の精神科医は、受診にやってくる患者さんに昔話や童話を語ります。昔話や童話が患者さんの疲れた心を癒し、患者さんの目には少年少女時代と同じ輝きが戻るそうです。

 いくつかの物語療法のエピソードが紹介されています。
 仕事に意欲的に取り組んでいた青年が自宅に引きこもりになったのですが、その原因が分からないため、精神科を受診しました。 この時この精神科医は、昔話の「三ねんねたろう」の物語をして治療を行ったのです。(ここでは、この物語の内容は省略しますが、興味がある方はこの文庫本を読んでください)

 人は一生の間に「内省的」な時期と「行動的」な時期を交互に繰り返すものです。そのたびに人生に区切りをつけ新しい人生を歩むのです。普通それは明確には自覚されません。
 失恋のような大きな出来事の後には、ある程度自覚されます。ひとり旅に出る人がいます。単に心の傷を癒すためと考えられやすいのですが、それだけのことではありません。 恋人のいない新しい人生に備えるためでもあるのです。
 親しい人が亡くなった後も、人はひとりになりたくなります。亡くなった人とのつながりを静かに確認するためですが、同時に親しい人を失った後の新しい生活に備えるためです。 三ねんねたろうが長い眠りについたのも、そういえば母親が亡くなった後のことでした。

 多くの人がとかく、悲しい目にあうと日常の活動でそれをまぎらわそうとします。内省的であるべき時期に行動に走ろうとするのです。 それを防止するために、多くの民族が長い喪の期間を定めています。人は新しい人生を生きるために、ときに内省的になる必要があるのです。 失恋の後や親しい人の死の後とは限りません。思い切った飛躍が必要な時は、いつもその飛躍に備えないといけないのです。

 自室に閉じこもった青年の場合も、つらい思いをしたしたから閉じこもったわけではなく、会社が発展を遂げ自分自身も技術的に大飛躍を遂げられそうになった矢先に、閉じこもったのです。 彼は彼なりに飛躍に備えていたのだといえるでしょう。この青年は、三ねんねたろうの物語とこの説明に得心がいき、また出社し始めたのです。

 人には誰にでも「自分の物語」があるのです。幼い時に心引かれた物語が、みなさんの人生を導いてきたことに気づくはずです。人生のおりおりに鍵となったお話があったことに気づくはずです。
 過去に限る必要はありません。人生の節目節目に自分に合った童話や昔話を見つけてください。誰も心の中にも小さな主人公たちがいて、みなさんに呼び出されるのを待っています。 

 人は一生の間に「内省的」な時期と「行動的」な時期を交互に繰り返す、といいます。内省的な時期には無理に行動しないで、次の飛躍に備えないといけないというのです。 みなさんもこれまでの人生で、じっくりと考える時期と積極的に行動する時期をそれぞれ経験したことがあるでしょう。
 とりわけ男性にとって定年退職は、人生の大きな節目ですし転機でもあります。この青年のように、引きこもる定年男性もいると聞きます。 その意味で、定年を内省的な時期と捉えて、すぐに行動しないで新しい人生に備える時と考えることができます。

 次の飛躍に備える「内省的な時期」、いいではありませんか。大切なことだと思います。ロングステイもそのひとつのきっかけになるかもしれません。 そして、これからの人生を導く「自分の物語」を見つけて、新しい人生へ大きく羽ばたきましょう。
  

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January 08, 2006

№261 会社人間から社会人間に

  チェンマイのサンデーマーケット
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 1月5日の朝日新聞に「会社人間から社会人間に」という社説が載っていました。「団塊のあした」というシリーズの記事です。 いよいよ来年、団塊の世代が定年を迎え始める“2007年問題”が迫っているという事情が背景にあるのでしょう。この記事の概要を紹介します。

 人口13万人の東京都武蔵野市には、6300人の団塊の世代がいる。市は2年前、彼らの声をまちづくりに生かそうと、市民会議「団塊の世代の主張」をつくった。集まったのは大学教授や広告会社社員、不動産業の経営者、主婦ら7人だ。
 半年後に「団塊力」と題する報告書をまとめた。福祉サービスを受けるだけでなく、サービスの提供者でいたい。リタイア後に人間関係を築き直すには地域にたまり場を。そんな提言が並ぶ。

 任期が終わっても解散せず、7人が中心になって「DANKAIプロジェクト」という団体をつくり、今も月1回の会合を重ねている。経験や人脈を生かしながら、地域のニーズに合った活動を自分たちで生み出そうというのが、このプロジェクトの目標である。
 近々、お年寄りの話に耳を傾けるための「傾聴ボランティア」の養成講座を開く。また、子育て中の母親の悩みを聞いてはどうか。そんなアイデアも出ている。

 昨秋、岐阜県揖斐川町で、団塊の世代による「団塊サミット」が開かれた。自分の故郷に帰らず、住み慣れた第二の故郷に賑わいを取り戻すには、どうしたらいいか。そんな議論に全国から140人が集まった。
 体験者たちからは、地域社会にデビューするための心得などが語られた。

 退職後の団塊の世代の力を活用しようと、自治体は手ぐすねを引いている。だが、行政の下請けとして当てにするのはお門違いだ。何をするのかは当事者たちの意欲と自主性に任せる方がいい。
 団塊の側も、「会社人間」から「社会人間」への脱皮に努めたい。社会が抱え込んだ課題を探り出し、その解決に時間や労力を提供する。そうすれば官でも民でもない、新たな「公」が活躍する場を広げることができる。
 武蔵野や揖斐川での試みが全国に広がることを期待したい。2007年はすぐそこに迫っている。 という内容です。


 昨年からマスコミを賑わすようになった2007年問題。記事でも紹介しているように、全国で色々な取り組みが始まっています。
 定年後、自分が住み慣れた地域社会に、いかにデビューできるかが大きな課題になってきます。団塊サミットでの「地域社会にデビューするための心得」についても書いてほしかったですね。
 まず、地域社会にシニアの受け皿となる“居場所、たまり場”づくりが必要になるでしょう。地域における活動や個人の新しい人間関係の形成の場となるものです。
 しかし、最も重要なのは、タイトルにもあるように個人が、いかに「会社人間から社会人間に」意識が変えられるか、ということだと思います。 これまで仕事中心の人生を送ってきた団塊の世代、頭では分かっていてもタテ社会の人間関係から、肩書きなしの地域社会での人間関係へと、そう簡単に切り替えられるものではないでしょう。

 人生80年時代、そうあせることはありません。ここはひとつ海外でのロングステイで、これまでの人生を見つめ直し、これからの人生を構想してみるのも一つの方法かもしれません。
 心のスウィッチを切り替えるための時間と仕掛けが必要なのです。

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December 06, 2005

№231 君子はサッサと豹変せよ

    チェンマイの蘭園にて
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 今回は「バカの壁」の筆者で知られている養老孟司氏の西日本新聞の寄稿を紹介したいと思います。

 脳は鍛えられるものだろうか。脳を鍛えたら、頭がよくなるのだろうか、ボケないで済むのではないだろうか。
この問いに対して、筆者は「わかりません」と答えています。
 筋肉は、肉体労働やトレーニングによって鍛えることができます。脳も同じことを繰り返すことで上手になる。いわゆる“慣れ”です。 それは、それ以前に比較して「脳が鍛えられた」のです。しかし、それで他のことが上手になるかというと、そんな保証はありません。

 脳について、むしろ気になることは、多くの人が「自分は変わらない」「変わっていけない」と思っているらしいことである。 「君子豹変」という言葉がありますが、本来の意味は「誤って改めるにはばかることなかれ」ということです。間違ったと思った時は、サッサと意見を変えるのが君子なのです。 本質的に意見が変わるとは、脳が変わるということなのです。
 同じ脳でいるということは、楽なような気がしますが、本当はそれは楽ではありません。なぜなら、自分を変えまいとする人には、肩に力が入って、機嫌が悪くなっているからです。 今ではそういう人を多く見かけるように思います。特に年配の男性に多いのです。

 日本の高齢者、特に男性には、自分を変えることをお勧めしたい。それが脳を鍛えることであると思う。今までの自分と違う自分に変われば、感じることも、することも違ってくる。それが一番いい脳の鍛錬でしょう。
 自分が変わると、世の中が違って見える。それは自分を変えてみれば分かります。違った世の中から脳に入ってくるものは、以前入ってきたものとは違います。 だから脳が刺激を受けるのです。まだ変わっていない人は、これから「変わる」という楽しみがあるのです。

 さて、やはり年配の男性は、なかなか自分を変えられないのですね。違う自分、変わった自分になることができたら、新しい考えや価値観が生まれてくるのです。 では、そのきっかけは? 定年後の男性が、地域に根ざして地域に生きていくためには、どうしたらいいのでしょうか。
 上手に自分を変えることができる人もいるでしょう。しかしできない方が多くいらっしゃることも事実です。
海外でのロングステイを通して自分を見つめ直すことで、自分を変えることができたら、素晴らしいことですね。

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November 16, 2005

№211 大学院で生涯学習 その2

     安立先生と学生たち
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その2
 では、具体的な大学院への進学の方法です。
 大学院は、社会人の入学枠がなくても進学できます。一般の学生と同じに受験すればよいのです。社会人枠というのは、一般の学生とは別枠で社会人にための入学枠を設けているだけなのです。

 まず第一に、自分が研究したい問題関心は何かということです。自分の身近なことでも結構ですし、興味や関心があって、あきらめずに続けられるテーマです。 「何を研究したいのか、何を発見したいのか」をはっきりさせることが、最も大切なことです。

 第二に、「何を研究したいのか」がはっきりしたら、自分のテーマに近い研究をしている先生や研究室を調べましょう。大学に資料請求してもいいですしインターネットでも調べられます。 見つかったら研究室を一度、訪問してみることです。大学院を直接受験しても、そのまま受け入れてくれることは期待できませんので、先生との事前の面談は不可欠です。
 わたしも安立先生に直接電話して挨拶に伺いました。そして自分の問題関心や研究したいことを話をして、研究室の研究テーマに合うのかを確認しなければなりません。 また大学院の雰囲気や先生の人柄も分かるでしょう。そうして進学したい大学院を決めていくのです。

 第三に、受験する大学院が決まったら、研究したいテーマを研究計画書にまとめていきます。 この研究計画書こそが、大学院進学の鍵を握っているのです。自分のテーマを社会学なら社会学の枠組みに当てはまる計画書にしていきます。 研究テーマがしっかりしていて軸がぶれない、学問領域に沿った研究計画を作成できるかが、合否のポイントになるといってもいいでしょう。
 きちんとした研究テーマを持っていて、修士論文を書き上げる能力と強い意志があるのだろうか、ということなのです。必ずしも英語や専門試験の学力だけで判定されるのではないのです。

 わたしが進学した安立研究室は、介護や福祉に取り組むNPOや病院でのボランティア活動、そして高齢社会の研究が主なテーマです。 大学から進学する学生、中国・台湾などからの留学生、社会人学生が、研究室の共同研究を行ったり自分にテーマに取り組んでいます。
 安立研究室のホームページに進学に関する情報がありますので、参考にしてください。

 アドバイスとしては、小さな一歩、ちょっとした一歩から始めることです。“行動することが大切だ”とロングステイを実行している方から教えられました。 ちょっとした一歩を踏み出せるか、踏み出せないか、それが人生を生きる上で大きな違いになると思うのです。まずできることから始めてみるのです。

 大学院は、広く社会人や社会に開かれています。自分がやってみたいテーマがあったら、気軽に大学院の扉を叩いてみましょう。


 安立清史研究室(九州大学大学院 人間環境学府)
  http://www.lit.kyushu-u.ac.jp/~adachi/ 

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November 15, 2005

№210 大学院で生涯学習

    ココナッツ・ガーデンにて
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 わたしは、現在50歳の社会人なのですが、九州大学大学院 人間環境学府の博士課程に在籍しております。
大学院では地域福祉社会学を専門にされている安立清史先生に指導を仰ぎ、 「高齢社会におけるシニアの生き方」をテーマに研究しています。 その具体的な研究のフィールドワークとして「タイのロングステイ」を取り上げた訳です。
 
 修士論文では、介護や支援を必要とする高齢者ではなく、タイ・バンコクでロングステイをされている日本人の方を対象に、元気で健康な高齢者に焦点をあて、なぜロングステイをしようと思ったのか、ロングステイによって個人がどのように変わるのか、ロングステイにはどのような機能があるのか、などについての研究をまとめました。

 45歳の時に大学院へ進学しようと思い立ちました。では、どうして大学院へ行こうと思ったのかについてです。
人生の半ばに差しかかり、後半の人生をどうやって生きていこうかを考え始めていましたし、ちょうどその頃、父が亡くなくなり自分の死が身近に感じられるようにもなりました。 そこで、このままの人生を続けてもいいが、自分でしたいことをやってみたいという気持ちが強くなっていたのです。
 これまでホワイトカラーからブルーカラーまでの仕事を経験し、自分でも予想しない人生を送ってきたわたしにとっては、大学院進学はそんなに大きな一歩ではありませんでした。 むしろもっと“自分らしい人生”を送りたい という気持ちが大きかったのです。後半の人生を、周りの声や評価をあまり気にしないで、自分の心に正直に生きたいと思いました。
 
 どうせ大学院へ行くのならば、好きなテーマで自分のためになり社会にも役に立つことを勉強しようと考え、関心がある3つのキーワード「高齢社会、生きがい、海外」に合致するものが、「海外のロングステイ」だったのです。
 正直にいいますと、研究の成果によって自分自身の人生の生き方の指針が見つけられるかもしれませんし、その上調査という名目で海外へも行けると思ったことも事実です。

 何はともあれ、そんな動機で大学院に進学し、この年で学生に戻ることになったのです。

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